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再生医療の「培地」供給で稼ぐ成長必至のIPO企業 コージンバイオの中村孝人社長に聞く

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創業から43年経って新規上場を果たした。

コージンバイオは埼玉県坂戸市の工業団地に本社を構える(写真:風間仁一郎)
コージンバイオは、再生医療の研究や臨床向けに細胞培養用の培地を供給する企業だ。iPS細胞など再生医療の分野では、細胞を培養するための「培地」が不可欠になる。中長期的な再生医療の進歩につれて、培地のマーケットも拡大が見込まれる。
細胞培養用の培地供給に加え、自由診療向けに幹細胞や免疫細胞を受託培養する細胞加工業、さまざまな細菌検査用に検査キットや培地を販売する微生物事業も展開し、3事業で収益を構成している。
4月25日に上場した同社は、上場当初こそ公募価格の1900円を下回る時期もあったものの、その後一時2000円台を回復するなど、株式市場からの評価が徐々に高まりつつある。同社の創業者である中村孝人社長に、成長戦略や同業他社に対する優位性などを聞いた。

※本記事は「会社四季報オンライン」でも有料会員向けに配信しています

――最初に、上場した目的を教えてください。

資金調達の目的ももちろんあるが、いちばんは当社をグローバルブランドにするためだ。人材も確保しやすくなるだろう。

上場すること自体が目的ではない。早く中堅企業になり、上の市場を目指したい。

――上場初年度から配当を出す予定です。

いや、上場前から配当を出している。他人様からお金を借り、株式を発行してお金を集めて株式会社を運営している。配当を払わないで、株式会社を名乗っていいのだろうか。よく「成長投資のために配当はしません」と堂々と言う経営者がいるが、それは少し違うと思っている。加えて、できるだけ赤字にはしない。会社というものは、黒字にしないとダメだ。

今、この業界に大手企業が注目し始めている。(配当や、黒字の業績を出さなければ、)M&Aを「する側」ではなく「される側」になってしまう。株式をどんどん発行していたら、会社を買われることにつながってしまう。資本政策はしっかり考えていきたい。

「マーケットの底が抜けた」

――改めて事業概要について教えてください。組織培養事業では、細胞培養用の培地を供給しています。

43年前に起業した当初は、バイオ関連の消耗材として、微生物の培養に必要なウサギやウマの血液を採血して商売していた。微生物ではなく細胞の培養に際しても、動物の血液の「血清」を用いて、研究者自身でさまざまな材料を混ぜて細胞培養用の培地を作っていた。

非常に小さなマーケットだったが、最盛期には朝3時に起きて、動物の血液をもらいに行き、寝る間も惜しんで働いていた。

中村孝人(なかむら・たかひと)/1949年広島県生まれ。1973年に丸大食品入社。 1981年にコージン(現・コージンバイオ)を設立して社長就任(写真:風間仁一郎)

ところが約30年前になると、研究者自身がガラスのシャーレに培地を作るのではなく、既製品として培地が入ったプラスチックのシャーレや試験管を供給する欧米メーカーが台頭し、市場ができてきた。当然、当社のように動物の血液を売っているところは商売がなくなる。

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