創業から43年経って新規上場を果たした。
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――最初に、上場した目的を教えてください。
資金調達の目的ももちろんあるが、いちばんは当社をグローバルブランドにするためだ。人材も確保しやすくなるだろう。
上場すること自体が目的ではない。早く中堅企業になり、上の市場を目指したい。
――上場初年度から配当を出す予定です。
いや、上場前から配当を出している。他人様からお金を借り、株式を発行してお金を集めて株式会社を運営している。配当を払わないで、株式会社を名乗っていいのだろうか。よく「成長投資のために配当はしません」と堂々と言う経営者がいるが、それは少し違うと思っている。加えて、できるだけ赤字にはしない。会社というものは、黒字にしないとダメだ。
今、この業界に大手企業が注目し始めている。(配当や、黒字の業績を出さなければ、)M&Aを「する側」ではなく「される側」になってしまう。株式をどんどん発行していたら、会社を買われることにつながってしまう。資本政策はしっかり考えていきたい。
「マーケットの底が抜けた」
――改めて事業概要について教えてください。組織培養事業では、細胞培養用の培地を供給しています。
43年前に起業した当初は、バイオ関連の消耗材として、微生物の培養に必要なウサギやウマの血液を採血して商売していた。微生物ではなく細胞の培養に際しても、動物の血液の「血清」を用いて、研究者自身でさまざまな材料を混ぜて細胞培養用の培地を作っていた。
非常に小さなマーケットだったが、最盛期には朝3時に起きて、動物の血液をもらいに行き、寝る間も惜しんで働いていた。
ところが約30年前になると、研究者自身がガラスのシャーレに培地を作るのではなく、既製品として培地が入ったプラスチックのシャーレや試験管を供給する欧米メーカーが台頭し、市場ができてきた。当然、当社のように動物の血液を売っているところは商売がなくなる。
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