
マレーシアのサラワク州にある、世界最大規模の微細藻類生産設備「CHITOSE Carbon Capture Central」。NEDOの支援で、ちとせ研究所が事業を進める (写真:ちとせ研究所/NEDO)
生成AIの登場に加えて、金融引き締めによる資金調達の難しさ、人材獲得競争の激化……スタートアップをめぐる環境は大きく変化しています。連載「すごいベンチャー」では、そうしたスタートアップの最新情報を定期的に発信。ユニークなビジネスモデルや先進的な技術を持つスタートアップも紹介します。
今回の取り上げるベンチャーは、マレーシアで世界に類のない藻の大量培養拡大の計画を進めているバイオ企業群「ちとせグループ」。その前編です。
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藻は事業の一部

生成AIの登場に加えて、金融引き締めによる資金調達の難しさ、人材獲得競争の激化……スタートアップをめぐる環境は大きく変化している。週刊東洋経済の恒例特集「すごいベンチャー」を連載化。連載の一覧はこちら
マレーシアのサラワク州で、2023年から広さ5ha(5万㎡)、現在世界最大級の微細藻類(藻)の大量培養実証事業が進められている。国の助成金を得たプロジェクトは藻の長期安定的な増殖など所定の目的をほぼ達成し終えた。ただこれは、ほんの一里塚でしかない。次のビッグプロジェクトがすでにスタートしている。
このプロジェクトの事業主体がちとせグループだ。2027年には100ha、30年には2000haと、3年で20倍ずつ培養規模を拡大する計画になっている。
当面の2027年の計画には580億円がかかる。投資の約3分の2はNEDOのグリーンイノベーション基金事業の助成金で賄えるが、残りは自己負担で確保する必要がある。そのため3月には三井住友銀行など7社・ファンドから42億円を確保した。
同社の資金調達額は、以前の分と合わせ累計73億円に達した。スタートアップとしては大規模で、評価額も1000億円超の和製ユニコーンとなっている。さらに現在、150億円を目標に一段の資金調達を進めている。
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