
藤田朋宏/ふじた・ともひろ ちとせグループ創業者兼最高経営責任者(CEO)。1973年生まれ。1999年東京大学大学院修了後アクセンチュア勤務を経て2004年ちとせ研究所の前身の会社に入社。2008年ちとせ研究所CEO就任(現職)。2011年ちとせバイオエボリューションを設立し、CEOに就任 (撮影:今 祥雄)
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藻は2030年に商用段階に。狙うはバイオ産業創出
――ちとせはどういう会社なのでしょうか。
藻だけの会社ではない。微生物の作製から、発酵や培養、細胞による医薬品製造までできる会社だ。これをAIで全部制御できるのはわれわれの強みだ。藻は大きい事業だが、ちとせの事業全体の5分の1に過ぎない。

――八ヶ岳などで千年農業もやっています。
マレーシア、ベトナム、タイでは大きな面積で農業支援をしている。できた農作物はうちが買い取って、ちとせブランドでマレーシアなど約80店のスーパーなどで売っている。ちとせ専用の棚ができているほどだ。
――どうやってこれだけの人を雇用できるのでしょうか。
共同研究の収入、細胞や藻から出たものの売り上げとかいろいろあるが、いまはだいたい売り上げは40億~50億円程度だと思う。
――藻の話を聞きたいです。どのくらいの生産量を目指しているのでしょうか。
NEDO向けの公約は1haあたり24トンの生産量だが、社内目標は70トンだ。5haの現状は(1haあたりで)70トンだったり、80トンできたり、20トンしかできないときもある。
――培養の規模を2027年、2030年と拡大する計画です。
2030年には培養の規模を2000haに拡大する。広いと思うかもしれないが、キャッサバやパームヤシなど陸上植物のプランテーションは一番小さいので1万haある。だから2000haは特別大きくはない。藻は陸上植物に比べて生産性が高いため、植物の1万haに相当するのが藻では2000haということだ。コストなどいろいろ考えると商用的には2000haが最小規模になる。
――当面一番重要なのは2030年の2000haということでしょうか。
そうだ。これが非常に重要なタイミングになる。最近、隣の火力発電所が止まったことだけは想定外だったが、それ以外は上手くいっている。ちなみに2027年には100haに規模を拡大する。3年で20倍ずつの拡大が挑戦するぎりぎりだ。
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