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バイオベンチャー・ちとせグループ藤田朋宏CEOに聞いた今後の展望【前編】「本質は石油由来の素材の代替をすることだ」

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藤田朋宏/ふじた・ともひろ ちとせグループ創業者兼最高経営責任者(CEO)。1973年生まれ。1999年東京大学大学院修了後アクセンチュア勤務を経て2004年ちとせ研究所の前身の会社に入社。2008年ちとせ研究所CEO就任(現職)。2011年ちとせバイオエボリューションを設立し、CEOに就任 (撮影:今 祥雄)

生成AIの登場に加えて、金融引き締めによる資金調達の難しさ、人材獲得競争の激化……スタートアップをめぐる環境は大きく変化しています。連載「すごいベンチャー」では、そうしたスタートアップの最新情報を定期的に発信。ユニークなビジネスモデルや先進的な技術を持つスタートアップも紹介します。
マレーシアで世界に類のない藻の大量培養拡大の計画を進めているのがちとせグループ。藻のプロジェクトをてこに、有名企業を多数巻き込むバイオ産業育成計画「MATSURI」などユニークな戦略を発展させ、2027年のナスダック上場を目指す異色の未上場企業です。今回、創業者にして会社を牽引し続けるトップ、藤田朋宏グループ最高経営者(CEO)に話を聞きました。その前編です。
<インタビュー後編はこちら

藻は2030年に商用段階に。狙うはバイオ産業創出

――ちとせはどういう会社なのでしょうか。

藻だけの会社ではない。微生物の作製から、発酵や培養、細胞による医薬品製造までできる会社だ。これをAIで全部制御できるのはわれわれの強みだ。藻は大きい事業だが、ちとせの事業全体の5分の1に過ぎない。

生成AIの登場に加えて、金融引き締めによる資金調達の難しさ、人材獲得競争の激化……スタートアップをめぐる環境は大きく変化している。週刊東洋経済の恒例特集「すごいベンチャー」を連載化。連載の一覧はこちら

――八ヶ岳などで千年農業もやっています。

マレーシア、ベトナム、タイでは大きな面積で農業支援をしている。できた農作物はうちが買い取って、ちとせブランドでマレーシアなど約80店のスーパーなどで売っている。ちとせ専用の棚ができているほどだ。

――どうやってこれだけの人を雇用できるのでしょうか。

共同研究の収入、細胞や藻から出たものの売り上げとかいろいろあるが、いまはだいたい売り上げは40億~50億円程度だと思う。

――藻の話を聞きたいです。どのくらいの生産量を目指しているのでしょうか。

NEDO向けの公約は1haあたり24トンの生産量だが、社内目標は70トンだ。5haの現状は(1haあたりで)70トンだったり、80トンできたり、20トンしかできないときもある。

――培養の規模を2027年、2030年と拡大する計画です。

2030年には培養の規模を2000haに拡大する。広いと思うかもしれないが、キャッサバやパームヤシなど陸上植物のプランテーションは一番小さいので1万haある。だから2000haは特別大きくはない。藻は陸上植物に比べて生産性が高いため、植物の1万haに相当するのが藻では2000haということだ。コストなどいろいろ考えると商用的には2000haが最小規模になる。

――当面一番重要なのは2030年の2000haということでしょうか。

そうだ。これが非常に重要なタイミングになる。最近、隣の火力発電所が止まったことだけは想定外だったが、それ以外は上手くいっている。ちなみに2027年には100haに規模を拡大する。3年で20倍ずつの拡大が挑戦するぎりぎりだ。

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