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10月30日(木)〈インタビュー〉富士フ「建設中の米医薬工場」で受注相次ぐ理由
世界のCDMO市場は大手による寡占状態にも見えるが、実はまだ今後も成長を狙える領域が残されている。
2000年代以降、創薬の主戦場が低分子医薬からバイオへと移った。抗体や成長ホルモン、インスリンなど生物由来の成分を基にするバイオ医薬品は、いまや世界の医薬品売り上げの半分以上を占めるまでに成長。今後も市場の拡大が見込まれている。

バイオ医薬品の中でも現在の主流は、がんや自己免疫疾患などに使われることの多い「抗体医薬」だ。イギリスの調査会社エバリュエートによると、2024年時点で抗体医薬がバイオ医薬品の中で占める割合は半数超となっている。
副作用を抑えつつ高い効果を発揮できることから、世界中で需要が拡大している。製造技術の成熟度も進み、ロンザやサムスンバイオ、富士フイルムは大規模な培養設備を持ち、量産体制を確立している。
ただ抗体以外のバイオ医薬品の多くは、まだ発展途上にある。製薬業界で「モダリティ」と呼ばれる薬の製造方法・技術は多種多様。CDMOにとっては、製薬企業がどの技術に注力しているかを見極めることが戦略上重要となっている。そしてここに、日本企業が世界で存在感を示せる余地がある。
再生・細胞医療品を扱うCDMO
国内で存在感を高めているのが、富士フイルムのほかAGC、宝酒造グループのタカラバイオ、そして住友ファーマと住友化学が設立したCDMO「S-RACMO(エスラクモ)」などのCDMOだ。中でも2020年にできたばかりのS-RACMOは、再生・細胞医療分野で先行する。
同社の土田敦之社長は「抗体医薬のCDMO市場は完全に出来上がったが、細胞医薬は黎明期。世界でもトップランナーを狙える領域だ」と話す。



















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