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進撃の富士フイルム「メディカル売上高1兆円」への野望・・・全方位戦略に自信、M&A・AI・新興国開拓の“三本の矢”はどこまで飛ぶか

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2021年に日立の医療機器事業を買収し、大型の診断機器がラインナップに加わった(記者撮影)

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苦節9年――。富士フイルムの医療機器事業は着実に成長を遂げている。

富士フイルムホールディングス(HD)の後藤禎一氏が、2021年の社長就任時に掲げた目標「2027年3月期にヘルスケアセグメントで売上高1兆円達成(2020年度比で約1.7倍増)」。これは、2年前倒しで達成された。

道のりは平坦ではなかった。2016年に東芝メディカルシステムズ買収に名乗りを上げたが、接戦の末にキヤノンに競り負けた。

このとき、大型案件を目前で逃した富士フイルムの悔しさは大きかった。「東芝メディカルとはかねて販売や開発の面でも密な関係にあった。一緒に仕事をしたかったと夢に見ていたはず」(当時を知る関係者)。

グループの主力事業に成長

そこから急速に巻き返しをはかっていく。象徴的だったのが、2021年に1790億円を投じ、日立製作所の画像診断機器事業を買収したことだ。

「医療用画像管理システム(PACS)」や超音波で事業基盤を築いていた富士フイルムだが、日立からの買収でCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)といった大型の診断機器が自社ラインナップに加わった。まさに待望の「最後のピース」がそろった瞬間だった。

富士フイルムは、医療機器やバイオCDMO(製造開発受託)を軸にヘルスケア事業を展開するが、後藤社長は「CDMOでは先行して成長投資を進めているが、いずれ大きくジャンプして、"K点越え(限界突破)"ができると確信している」と、今後の成長にも自信を見せる。

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