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住友化学が再出発、"苦しむ名門"は復活できるのか ラービグ止血にはメドが付いたが、成長戦略に課題

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3月4日、2025年度から3カ年の新中期経営計画について説明する住友化学の岩田圭一社長。4月からは会長になる(記者撮影)

「この2025年度を『新生住友化学』の出発点とする」

総合化学大手の一角、住友化学は3月4日、2025年度から3カ年の新中期経営計画を発表した。説明会の冒頭、岩田圭一社長はそう思いを語った。

この3月末で終わる現中計は、まさに乱気流に見舞われたといっていい。製薬子会社の住友ファーマと、石油精製・化学合弁会社のペトロ・ラービグ(持ち分法適用会社)の巨額損失が響き、2023年度は過去最悪となる3118億円の最終赤字を計上した。

2024年度は250億円の最終黒字を見込むまでに回復している。人員削減や開発品目の絞り込みでファーマが黒字化したことが最大の要因で、2023年度に足を引っ張った石油化学(石化)や飼料添加物も改善した。

もっとも、利益水準はなお低い。時価総額は約6000億円、PBR(株価純資産倍率)は解散価値の1を下回る0.6倍台と、株式市場の評価も低空飛行が続く。

3年間でコア営業利益を実質5倍に

新中計ではこうした状況を打破し、成長軌道への回帰を目指す。最終年の2027年度はコア営業利益(営業利益から非経常損益を除外したもの)2000億円、最終利益1000億円を掲げる。

2024年度のコア営業利益は1000億円を見込むが、事業売却益を含むため、実力ベースでは400億円。つまり、足元と比較してコア営業利益は5倍、最終利益は4倍に増やす計画だ。伸び率だけを見れば野心的な数字に見える。

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