海外で学ぶ中国人留学生の渡航先が多様化を見せている。その一方、受け入れ側の国によってはインドやベトナムなどからの留学生が急増し、中国人留学生の数を上回りつつある――。
中国のシンクタンク、全球化智庫(CCG)が先ごろ発表した「中国留学発展報告書」の最新版から、そんなトレンドが明らかになった。
報告書によれば、海外の大学以上の高等教育機関で学ぶ中国人留学生の総数は、2021年には102万1000人に上った。2019年の106万1500人よりは若干減少したものの、世界の留学生全体の約16%を占めており、出身国別で第2位のインド(約8%)に大きく水を空けている。
留学先の国別ではアメリカ、イギリス、オーストラリア、日本、韓国などで、2022/2023学年度の留学生に占める中国人の比率がトップだった。
留学費用の安さが呼び水に
注目されるのは、中国の学生の間で「以前は留学先として比較的ニッチだった国を視野に入れる流れが強まっている」という報告書の指摘だ。
具体的には、ドイツ、イタリア、アイルランド、スウェーデンなどのヨーロッパ諸国やロシア。さらに、中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」の沿線国であるマレーシア、タイなどの国々に留学する中国人学生が増えているという。
これらの留学先に共通するのは、学費や生活費などの負担が(相対的に)小さいことだ。例えばドイツは、他のヨーロッパ諸国と同様に、ほとんどの公立学校の授業料が無料となっている。さらに、2020年からは「高考(ガオカオ)」と呼ばれる中国の大学統一入学試験の成績を申告することで、ドイツの大学や大学院に留学申請できるようになったことも大きい。
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