なぜソニーが?エヌビディア搭載「最先端AIサーバー」を発売する意味…独自AIで差別化、虎の子CMOS事業が狙うスマホと車載の“次”

急速に生成AIが普及する中、ソニーグループがエヌビディア製の最先端GPU(画像処理装置)を搭載したAI(人工知能)サーバーの販売に乗り出している。
手がけるのは半導体事業会社のソニーセミコンダクタソリューションズ(ソニーセミコン)。5月発表のリリースでは「受注から約2週間の短納期を実現」とうたっており、実際に多くの問い合わせが来ているという。
生成AIを動かすための高性能なサーバーは、急増する需要に対して生産数量が限られている。国内では、なかなか手に入らないという企業が少なくない。
実際の開発では、グーグルやアマゾン、マイクロソフトが提供するクラウドサービスを利用することもできるが、情報漏洩などへの懸念から自社内のサーバーで開発したいというニーズも根強くある。
ソニーセミコンの画像センサーはアップル「iPhone」のカメラにも採用されており、CMOSイメージセンサーで世界トップシェアを誇る。そんなソニーセミコンが、なぜ最先端の生成AIサーバーの販売を手がけることになったのか。
きっかけは「AI研究」
ソニーセミコンでは、iPhoneのようなスマートフォン向けの画像センサーを開発・製造するだけではなく、センサーとAIを組み合わせた新しいサービス「AITRIOS(アイトリオス)」を展開している。すでに複数企業が導入しており、顧客データの分析などに使われている。
例えばコンビニ大手のセブン-イレブン。店舗内に設置してあるデジタル広告の効果を高めるため、一部店舗でアイトリオスのサービスを使っている。販売ケースの上部、天井付近に取り付けられたカメラで顧客を認識し、その顧客の年齢や性別といった属性に合わせた広告を表示する。
アイトリオスの特徴は、カメラで撮影した画像データをその場で分析して、年齢や性別といった属性データだけを取り出すことができることだ。
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