サンマ漁獲枠を削減でも「獲り放題」の残念な実態 魚が減っていく本当の理由が知られていない
「過去最低の漁獲量」「歴史的不漁」といった言葉が、サンマをはじめ、さまざまな魚種で、かつ全国で毎年のように出てくる日本の漁業。前年度より少しでも漁獲量が増えただけで、分母が小さくなったことを考慮せずに「前年比〇%増」「前年比〇倍」などと報道されます。
しかしながら、数十年という長いスパンで見れば大した増加ではなく、逆に大きく減少しています。そして数年たつと漁獲量はさらに減るという負の連鎖の繰り返しです。
これは、国際的な視点でみると、科学的根拠に基づく漁業管理・数量管理を怠ってきた結果にほかなりません。魚が減っていく本当の理由について社会的に誤解が広がっていることが「大問題」なのです。
サンマは実質「獲り放題」のまま
2024年4月15日から18日にかけて北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が大阪で開催されました。そこで、不漁が続き危機に瀕しているサンマの漁獲可能量(TAC)について、日本・中国・台湾をはじめ9カ国・地域で会議が行われました。
決まった内容は、公海上のTACが前年の15万トンから10%減の13.5万トンに削減され、これに日本の排他的経済水域内でのTACを加えると、全体では同10%減の22.5万トンまでは漁獲可能というものです。昨年も同25%減だったため漁獲可能量「削減」という報道だけ見ると、資源管理が進んでいるように感じられるかもしれません。
しかしながら、昨年のサンマの漁獲量は全体で12万トンしかなく、資源の減少が止まらない環境下で、漁獲枠が22.5万トンでは実質「獲り放題」のままなので、資源管理の効果は出ないのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら