サンマ漁獲枠を削減でも「獲り放題」の残念な実態 魚が減っていく本当の理由が知られていない

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資源管理にある程度の知識があれば、昨年の漁獲量が12万トンなのに、資源の減少傾向が続く中で、日本のEEZでの漁獲量も含めて、漁獲枠が22.5万トン。「科学勧告」である7.3万トンの約3倍の枠では、獲り放題のままであり、乱獲を止めることはできないことがはっきりとわかります。資源を回復させるためには7.3万トン以下の漁獲枠設定が不可欠なのです。

北欧のサバでも困難に直面している国別枠の配分

小さなサバは獲らない仕組みができているノルウェー(写真:筆者提供)

北大西洋のサバの漁獲枠配分をめぐっては、現在でも合意ができておらず配分の難しさを物語っています。もともとはノルウェーとEUが主体で資源管理をしていたサバ。そのサバの回遊経路が変わり、それまでサバを漁獲していなかったアイスランドやグリーンランドでもサバが獲れるようになりました。

またデンマークの自治領であるフェロー諸島が、配分が少ないと言い出し揉めました。そうこうする内に、サバ漁に向けての漁船や加工工場の設備投資が進められてしまい、こうなると後には引けません。このケースと、サンマを対象に中国や台湾などが漁船を建造して後には引けないパターンは類似しているのです。

ただし、大西洋のサバにおいては、各国が自制し3歳未満の未成魚の漁獲はせず、またサバの枠においても過剰なレベルではないので、日本のようにサバの未成魚まで漁獲してしまい資源がなくなるということは起きていません。

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