平気でマグロ食べる人が知らない資源管理の実態 クロマグロ以外は機能していない日本の漁獲枠

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クロマグロ(写真:筆者提供)

太平洋クロマグロの資源管理に関する国際会議が、7月に福岡市で開かれました。日本をはじめ、アメリカ、中国、韓国など12の国と地域の政府関係者や国際機関などが参加しました。

乱獲で一時激減していたクロマグロの資源量が増えてきたことに伴い、来年の会議では日本として漁獲枠の増加を提案する方針を示したそうです。また12月に行われる年次会合では、小型マグロの代わりに大型マグロの漁を増やす形で漁獲枠の上限を前倒しして拡大を提案することで、各国が一致しています。

国ごとの漁獲枠が厳格に決まり、クロマグロではようやく資源管理を行った効果がでてきた格好です。多くの努力があって、初期資源(漁業開始前の資源量)の20%にまで回復する目途がようやくついてきたためです。

サンマのような形骸化した漁獲枠に意味はない

一方で同じ国際会議でも、NPFC(北太平洋漁業委員会)でのサンマのように、実際の漁獲量をはるかに上回る、形骸化した漁獲枠の設定があります。これでは資源管理への効果はまったくなく、資源は確実に枯渇に向かってしまいます。

サンマの全体の漁獲枠は、33万トン(2022年)⇒25万トン(2023~2024年)で、「サンマの漁獲枠25%削減で合意」などと報道されています。しかしながら、関係者はわかっているはずですが、そもそも10万トン程度しか漁獲されていません。このため到達しない漁獲目標のような数字であり、形式だけで資源管理に効果はないのです。

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