平気でマグロ食べる人が知らない資源管理の実態 クロマグロ以外は機能していない日本の漁獲枠

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漁獲量と漁獲枠が乖離した状態では、乱獲が進みます。誰かが止めなければ、貴重な水産資源が失われていきます。FAO(国際連合食糧農業機関)がいう予防的アプローチは、残念ながら日本では見られません。それどころか、資源評価が甘かったり、獲り切れない枠が設定されていたりで、資源の悪化が止まらないのです。

実態にあった資源評価と漁獲枠の設定が不可欠

漁獲枠に達したら止めるのは資源の持続性を考える国々では常識です。何十年も前から、北欧・北米・オセアニアなどの漁業・水産業を成長産業にしている国々ではそうしています。

また、これらの国々では、獲り切れない目標のような漁獲枠は、北大西洋でのアジやアカウオなどの極一部の失敗例を除いて設定されていません。一方日本では、まともな漁獲枠は、国際合意の中で設定されたクロマグロにしかありません。

2020年に改正漁業法も施行されており、水産庁の資料を見ると、数量管理を基本とした資源管理を進めようとしているようです。しかしながら、まだ効果がある資源管理が行われているとは言えません。

漁獲量の減少を補ってきた輸入水産物は、世界的な水産物の需要増加で買い付けが難しくなっており、価格も中長期的に確実に上昇を続けます。そんな環境下で最後に頼りにせざるをえないのは、国産水産物です。その危機的な状況を正しく把握し、正しい資源管理のアクションを取ることは待ったなしになっています。

国は国際的に見て遜色がない資源管理を進めようとしています。しかしながら、これまで国際的な成功例が表に出ることは少なく、魚の資源を回復させる施策に対して反対してしまう例をあちらこちらで聞いています。まずは、深刻化している資源管理の問題を正しく把握することが大切です。

片野 歩 Fisk Japan CEO

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かたの・あゆむ / Ayumu Katano

早稲田大学卒。Youtube「おさかな研究所」発信。2022年東洋経済オンラインでニューウェーブ賞受賞。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。長年北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国であるノルウェーには、20年以上毎年訪問を続けてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会)、『日本の漁業が崩壊する本当の理由』他。

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