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トランプの"暴挙"を英メディアはどう報じたか?繰り返される問いは「戦争の出口は?」「英国はどこまで関与するか」「法は力を制御できるか」

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アメリカとイスラエルによるイラン攻撃後、ダウニング街10番地で声明を発表するキア・スターマー英首相。2月28日(写真:ブルームバーグ)

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イランショックは中東だけの問題ではない。日本は原油輸送の遅滞という形で甚大な影響を受けつつある。英国では軍事基地が攻撃を受け、スターマー英首相はトランプ米大統領から「(戦時の英宰相)チャーチルとは程遠い」と公然と批判された。
日本、英国はアメリカと同盟関係にあり、アメリカとの関係は特別だ。そのため、報道スタンスの置き方には難しさもある。価値観がぶつかる険しい局面で、英国のメディアはトランプの暴挙をどう報じているのか。英国在住ジャーナリストの小林恭子氏の寄稿をお届けする。

2月28日未明、米軍とイスラエル軍によるイラン攻撃の第1報が入ると、英国の主要メディアは即座に「ライブ更新」体制へ移行した。

BBCはテレビ、ラジオ、オンラインのすべてで特別編成を敷き、ニュースサイトでは分刻みのライブブログを開始。現地特派員、軍事アナリスト、元外交官を次々とスタジオに招き、「これは限定的攻撃なのか、それとも全面戦争の幕開けなのか」という問いを軸に速報を続けた。

英紙「ガーディアン」や「フィナンシャル・タイムズ(FT)」もオンライン版でライブページを開設し、外交ルートや市場動向を同時進行で更新。特にFTは「原油価格の急騰」「タンカー保険料の上昇」「中東拠点企業のリスク」を即座に報じ、戦争が金融市場に直結していることを強調した。

単なる軍事的高揚感に流れず、英メディアはその報道で初動段階から国際法上の根拠、英国基地への波及リスク、英国人・企業の安全確保、英国政府の立場を同時に追った。

「違法な侵略」か「予防的自衛」か

攻撃開始時からすぐに問題視されたのは法的正当性を問う姿勢だ。ガーディアン紙は社説で、今回の攻撃を「国際法上の重大な疑義を伴う行為」と位置づけ、国連憲章上の自衛権の要件、つまり「差し迫った脅威」が存在したのかを厳しく問いただした。

この論点はポッドキャストにも波及している。BBCの人気番組「ニュースキャスト」では軍事作戦の出口戦略と法的根拠を同時に議論。「戦略目的は明確か」「政権の説明は一貫しているか」といった問いが投げかけられた。また同じBBCの「アメリキャスト」では、「トランプのイラン攻撃は違法だったのか」と、より直接的な問いを掲げ、米議会承認の有無や国際法上の根拠を専門家と検証した。

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