サンマ漁獲枠を削減でも「獲り放題」の残念な実態 魚が減っていく本当の理由が知られていない

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
減り続けるサンマの資源量(出所)水産庁

「漁獲枠削減」という方向性は間違っていないのですが、効果がない数量管理で資源が回復するはずはありません。資源が減ったのでTACを減らす。しかしそのTACが大きすぎて効果はない。資源が減ってさらにTACを減らす——という「いたちごっこ」が繰り返されているのです。

国ごとにTACを決めることは、国益が絡むため非常に難しいです。しかしながら、国民が資源管理の重要性に気づいておらず、サンマが獲れないのは海水温上昇や中国のせいと信じているようでは、サンマに限らず水産資源の先行きは非常に暗いです。

そこで国民に資源管理の正しい知識を広めることが、国際的な青魚の漁業・水産関係者と長年にわたり太いパイプを持つ、筆者の重要な役目と思料しています。

今回の漁獲枠削減による効果があるのか?

今回の10%の漁獲枠削減で資源管理に対する効果があるのか? 拙記事を読んだマスコミの方々からは「ありませんよね?」と確認されます。残念ながら「ありません」としか答えようがありません。

ただし重要な情報も伝えられました。NPFC委員会関連の報告の中で、資源が減ることにより漁獲量を減らす方式で計算すれば、「枠は7.3万トンになります」という数字が言葉を選びながら出されていました。

つまり、資源が減少した場合に漁獲割合を下げるという、より標準的な規則の一例の計算では、適正な漁獲枠の数量は7.3万トンなのです。これが委員会での「科学勧告」なのです。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事