
「最後は開示の応酬になったが、最大限できることはやった。市場に一石を投じることはできた」
航空機への動力供給や空港内の特殊設備の保守・整備を行うエージーピー(AGP)の株主総会が6月26日に開かれた。総会の終了後、その直前まで社長だった杉田武久・前社長は記者の取材に敗戦の弁を口にした。
4月25日に日本航空(JAL)が株主提案してから2カ月。全力の抵抗はかなわず、9月末での上場廃止を前提とする株式併合が賛成多数で承認された。
JALとその提案を支持する日本空港ビルデング、ANAホールディングスは合わせて71%のAGP株式を握っている。数的優位はいかんともしがたかった。
AGPが提案した取締役人事案もJALとANAから派遣された2人を除く8人全員が反対多数で否決。杉田前社長の退任が決まった。
JAL側「マッコーリー提案は画餅」
「なぜTOB(株式公開買い付け)をしなかったのか。JALの説明には納得できない」「そもそも大株主であるJALとの関係性がなぜおかしくなったのか」「JALにも株主はいるはずだが、少数株主を保護する考えはないのか。AGPの少数株主だけ無視なのか」
株主総会では、株式併合によって強制的に株を買い取られる少数株主からの意見表明が相次いだ。AGPの執行部からはそれぞれの意見表明に賛同する発言と、JALの提案に反対する旨の説明が続いた。
総会にはJALの代表者が出席しており、株主提案が正当であることを説いた。総会直前にオーストラリアのファンド、マッコーリーグループからAGPの買収提案があったため、総会のいわば延長戦といえる「継続会」を後日開催するようAGPは主張していた。
だがJALは、「マッコーリーの提案は実現可能性のない絵に描いた餅。不毛なやり取りは一刻も早く終わらせる必要がある」とした。
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