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〈インタビュー〉JALとAGPが激突、「非公開化提案の是非」を渦中のキーマン2人が語った

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JALとAGP
JALとAGPの主張は平行線のままだ(左写真:尾形文繁撮影、右写真:梅谷秀司撮影)

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日本航空(JAL)とグループ会社のエージーピー(AGP)が対立を深めている。
AGPは羽田空港や成田空港で航空機に動力供給などを行う東証スタンダード上場企業だ。同社に対して筆頭株主であるJALが株式非公開化を求める株主提案を行った。JAL(3月時点の株式保有比率29.59%)の提案には、羽田空港を運営する日本空港ビルデング(同23.79%)とANAホールディングス(同17.76%)も賛成している。
だがAGPはJALの提案に反対を表明、主張は平行線をたどる。このまま6月26日の定時株主総会で非公開化が決まるのか。両社の幹部を直撃した。

■日本航空執行役員 弓﨑雅夫氏
「友好的なTOBをしたいと思っていた」

日本航空の弓﨑雅夫執行役員
弓﨑雅夫(ゆみさき・まさお)/1992年入社。経営管理部長、経営管理本部副本部長などを経て、2023年から執行役員、財務・経理本部長、経営管理本部長。エージーピーの非公開化提案をめぐる実務を取り仕切る(記者撮影)

――AGPを非公開化させる意義を教えてください。

航空業界は増加するインバウンドや脱炭素への対応が今求められている。グランドハンドリング業務の人手不足や国内線の収益性低下などを受け、業界は「競争から協調へ」と変わっている。

AGPは大株主との利益相反を主張しているが、そういう状況ではない。経営を正常化して社会課題に取り組んでいくべきだ。

増資計画の情報を提供されていた

――株主提案では投資の必要性を訴えていますが、AGPはこれまでJAL出身社長の下で投資を抑制してきました。

AGPは現在、物流倉庫などの空港外事業に力を入れている。空港内事業はボラティリティ(コロナ禍など外部要因による変動)が高いので、空港外で事業を拡大することを全面否定するつもりはない。

しかし、今は空港内に投資や人材などのリソースを集中する時期だと思っている。空港内で脱炭素に資する投資をしっかり行っていきたい。人材戦略では賃金のベースアップや職場の環境改善など待遇改善に取り組みたい。

――AGPに対するJALとANAの影響力が強くなることで、外資系エアラインとは別とする二重価格設定などが起こる可能性は?

非公開化した後に、AGPのホームページで価格を対外的に開示するなど考えたい。大株主3社がいずれも親会社にならないことで、むしろ公正性が高まるのではないか。

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