
■日本航空執行役員 弓﨑雅夫氏
「友好的なTOBをしたいと思っていた」

――AGPを非公開化させる意義を教えてください。
航空業界は増加するインバウンドや脱炭素への対応が今求められている。グランドハンドリング業務の人手不足や国内線の収益性低下などを受け、業界は「競争から協調へ」と変わっている。
AGPは大株主との利益相反を主張しているが、そういう状況ではない。経営を正常化して社会課題に取り組んでいくべきだ。
増資計画の情報を提供されていた
――株主提案では投資の必要性を訴えていますが、AGPはこれまでJAL出身社長の下で投資を抑制してきました。
AGPは現在、物流倉庫などの空港外事業に力を入れている。空港内事業はボラティリティ(コロナ禍など外部要因による変動)が高いので、空港外で事業を拡大することを全面否定するつもりはない。
しかし、今は空港内に投資や人材などのリソースを集中する時期だと思っている。空港内で脱炭素に資する投資をしっかり行っていきたい。人材戦略では賃金のベースアップや職場の環境改善など待遇改善に取り組みたい。
――AGPに対するJALとANAの影響力が強くなることで、外資系エアラインとは別とする二重価格設定などが起こる可能性は?
非公開化した後に、AGPのホームページで価格を対外的に開示するなど考えたい。大株主3社がいずれも親会社にならないことで、むしろ公正性が高まるのではないか。