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〈舞台裏〉JALがグループ会社「エージーピー」に非公開化を迫る株主提案、取締役人事に値上げ交渉……「暗闘」を繰り広げた両社の因縁

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エージーピー
エージーピーは駐機スポットで電力や空調といった動力を航空機に供給している(記者撮影)

「暗闘」がついに公然の争いへ発展した。

衝突しているのは日本航空(JAL)とエージーピー(AGP)だ。AGPは航空機への動力供給や手荷物運搬器具といった空港内にある特殊設備の保守・整備などを行う東証スタンダード上場企業。そのAGPに対しJALが4月25日、株主提案を行った。目的はAGPの非公開化にある。

3議案ある株主提案の中核となるのが、約123万株を1株とする株式併合だ。併合により株主をJAL(2024年12月末時点での保有比率30.47%)、日本空港ビルデング(同24.5%)、ANAホールディングス(同18.3%)の3社のみとする。

1株未満の端数となる株主の保有株は、AGPが併合前の株数に応じて1株当たり1550円で買い取る。過去6カ月の株価に対して約4割のプレミアムを乗せた値段だ。取得資金はJALが貸し付けや出資で賄う予定とした。

非公開化をスムーズに進めるため、JALの推薦する社外取締役3人を送り込む議案も盛り込んだ。

前哨戦となった近年の取締役人事

株主提案は6月26日に開かれる予定の定時株主総会に諮られる。JALなど3社合算のAGP株保有比率は73%に達する。日本空港ビルデングやANAホールディングスはJALの提案に賛同しており、株主提案が通るのはほぼ確実だ。

AGPは、東証の市場区分再編で旧ジャスダック市場からスタンダード市場に移行した後、上場維持基準のうち流通株式比率基準に抵触していた。その状態を3月末にクリアした矢先、非公開化を迫られる株主提案を受けたことになる。

AGPは自社の独立社外取締役など3人で構成する特別委員会の意見を最大限に尊重しつつ、JALに株式買い取り価格の引き上げを求めていく。5月1日にはガバナンス検証委員会を立ち上げ、JALが示す非公開化の理由とAGPの上場維持方針との整合性などを検証してもらうとした。

AGPは「取締役会としての賛否は現時点では決定していない」とする。だが、筆頭株主のJALに公然と噛みついたも同然だ。

今回の前哨戦となったのが直近2年におけるAGPの取締役人事だ。

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