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〈劇的に進化〉機械翻訳・DeepL・生成AI…「翻訳サービスの差」を生んでいる"2つの要素" 日本人はついに「言語の壁」を乗り越えられるのか

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精度向上により、日常的に使われるようになった翻訳ツール。違いはどこにあるのか(上画像:編集部撮影、下画像:DeepL)

ついに日本にも、言語的に「開国」する日が訪れるのか――。

ほんの数年前まで、翻訳といえば当たり前に人手を介するものだった。ところが生成AIの登場が追い風となり、どんな文章でもほぼ瞬時に翻訳できるようになった。これによって「翻訳市場」に劇的な変化が訪れている。

翻訳市場が活況を呈している理由

「日本は非常にすばらしい国で、莫大な可能性と強力な製品・イノベーションがあるのに、言語によってそれが封じられてしまっているのは本当に残念なことだ。だからこそ、世界で最も広く使われている英語にもっと親しめるようになることは、誰にとっても有益だと思う」

そう話すのは、ドイツ発の翻訳ツール大手、DeepLのセバスチャン・エンダーライン最高技術責任者(CTO)だ。同社はもともと口コミで個人利用者を増やしてきたが、2024年6月に法人向けサービスを開始し、事業の軸足を法人向けに移しつつある。中でも2年前に進出した日本は、法人向けの有望市場と見る。

情報通信研究機構フェロー・隅田英一郎氏によると、日本人も英語を取得するのに2200時間の学習時間が必要だが、中高での学習時間は約1000時間。このため、日本人が英語を苦手と感じるのは当然だという

実際、DeepLにとって日本はドイツに次ぐ規模の市場で、サイボウズや大和証券など、東京証券取引所プライム市場に上場する企業のおよそ半数がすでに同社のサービスを利用している。今後はSIerなどとタッグを組んで、大手企業を中心にさらに顧客を増やしていくと意気込む。

翻訳市場が活性化している背景には、グローバル化によって多言語でやりとりする機会が増えたこともあるが、何より状況を変えたのは生成AIだ。翻訳の精度が飛躍的に向上したことで、一般の人もスマホで他言語のコンテンツを読んだり、会話したりする際に、翻訳ツールを利用するようになった。企業でも、人による翻訳に比べれば安価で、スピードも速い翻訳ツールは重宝される場面が増えた。

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