翻訳でも生成AI台頭?「DeepL」が見いだす勝ち筋 翻訳の「一貫性」で生成AIサービスと差別化

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DeepL翻訳の使用例とDeepLのロゴ
2017年にサービスをリリースして以降、事業拡大を続けるDeepL。生成AIを活用した翻訳サービスが勃興する中、どう戦うのか(左画像:DeepL公式サイトより、右画像:DeepL)

ChatGPTを手がけるアメリカのオープンAIが5月13日(現地時間)に生配信で発表した、最新AIモデル「GPT-4o」。次々に披露された最新機能の中でも、英語で話した内容をリアルタイムでイタリア語に翻訳するデモンストレーションは大きな話題を呼んだ。

AI技術によって言語の壁がますます低くなっている今、企業から多くの支持を集める翻訳ツールがある。DeepLだ。

現在は32言語、700の組み合わせでの翻訳に対応しており、独自のアルゴリズムで作られた翻訳精度の高さから、日本国内でも広く使われている。

海外支社とのやりとりなどで多く活用

ドイツに本社を置くDeepLは、2016年から機械翻訳システムの開発に着手し、2017年8月にDeepL翻訳をリリースした。今では翻訳テキストの文字数に上限がある無料版から、セキュリティ対策を施した有料版、文章作成サポートツール、機械翻訳をプロダクトなどに直接組み込めるAPIまで提供している。

収益の多くは、法人向けサービスが占める。翻訳の正確性やセキュリティの高さから、ビジネスシーンでの需要が大きいという。有料版では、翻訳完了後にDeepLが運用するサーバーからテキストが削除され、データが第三者に渡ったりAIの学習に使われたりする懸念もない。とくに日本においては、大手企業が本社で行われているコミュニケーションを海外支社に伝える際に使われるケースが多い。

2024年4月には、文章作成サポートツールの「DeepL Write」に同社サービスとして初めてLLM(大規模言語モデル)を搭載した「DeepL Write Pro」を発表。一般的な生成AIツールや、特定の入力に対して決まった内容を返答するようなルールベースの文章校正ツールとは異なり、DeepLの精度と独自のLLMを組み合わせることで、適切な言葉や言い回しなどの提案をリアルタイムで行い、下書きの作成段階から執筆者を支援する。

これにより執筆者の言語の習熟度に関係なく、どんな読み手に対しても完成度の高い文章を作ることが可能となる。現在は英語とドイツ語のみとなっている対応言語も、順次拡大していく予定だ。

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