サンマ漁獲枠を削減でも「獲り放題」の残念な実態 魚が減っていく本当の理由が知られていない

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国益が絡む国際交渉は非常に難しいです。しかしながら「漁獲枠を10%削減」では効果がなく、「引き続き過剰な漁獲枠」が設定されていて、研究者も非常に懸念している、といった実態に即した報道が不可欠なのです。

マスコミがよく調べずに表面的な内容だけを伝えてしまう悪影響が、取り返しがつかない段階に来ました。かつて大本営発表がどれほど甚大な被害をわが国にもたらしたかは歴史が語っています。「本当のこと」が報道されやすくなる環境が非常に重要なのです。

サンマに限らず現在の資源管理をめぐる状況は、科学的根拠に基づく正しい情報がほとんど伝えられていません。このため日本全国で魚の獲りすぎが起きて、サンマに限らず水産資源が大変なことになっているのです。

漁業者が原因ではなく「資源管理制度」の不備

このような魚が獲れない、供給減で魚価が上がっている状況下で「漁業者の方に魚を獲るのを我慢してください」と言って「自主的」に我慢していただけるでしょうか? 仮に我慢した漁業者がいたとしても、その分、他の漁業者の方が獲ってしまうことが考えられます。これを「共有地の悲劇」といいます。

一般には獲れなくなってしまった原因が「漁業者にある」と考えている人は少なくありません。しかしながら、本当の原因は「資源管理制度」の不備にあるのです。これは、漁業者が原因と考えられている方が、自分を漁業者の立場に置き換えられればわかることなのです。

サンマが獲れなくなったのは「海水温上昇」と、中国や台湾などの「外国漁船」が日本の海域に来遊する前のサンマを獲ってしまうから。はたまた「黒潮大蛇行」の影響といった報道が流れて、多くの国民がそう信じています。過去最低の水揚量と海水温上昇を比較すると驚くかもしれません

筆者は、それらに原因がないとは言いません。しかしながら、本質的には「科学的根拠に基づく資源管理」が行われていないこと、簡単に言うと「獲りすぎ」が原因であることを一貫して主張しています。

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