サンマ漁獲枠を削減でも「獲り放題」の残念な実態 魚が減っていく本当の理由が知られていない
そして「漁獲可能量が大きすぎて機能していないこと」、「日本のはるか沖合の海水温が高くない公海上でも不漁となっていること」「仮に資源管理を行っても実績がかつての80%から20%に減っているため、かつての20~30万トンの漁獲量に戻る可能性はない」ことなどを、ノルウェーをはじめとした海外の資源管理と比較しながら10年以上発信続けてきました。
特に、近年ではネットで拙記事を読んだ方々が「これまで理解していた内容の間違い」に気づき、筆者に取材するケースが増えています。筆者は北欧の資源管理にビジネスを通じて20年以上かかわっており、現場経験も長くあります。拙記事のほうが報道より客観的で数字や分析がしっかりしていることに強い危機感とともに驚かれるのです。
サンマに限らず、スルメイカ、サケ、シシャモ、イカナゴ、アジ他ほぼ全魚種の資源が減り続けている日本の水産資源。その原因は資源管理制度の不備に尽きます。そこで「魚が消えていく本当の理由」を国民の皆様にくまなく理解していただき、世論を変えていくことが筆者の目的です。
問題の本質は資源管理にある
関係者が「本当のこと」を言いやすい雰囲気を醸成し、さらに海外ともつないで資源管理の輪を広げていきたいと考えています。魚が減ってよいことなど1つもありません。
資源状態があまりにも酷くなってしまい、今さら本当のことなど言えないといった関係者は少なくないはずです。しかしながら、SDGsが子供たちの学校でも取り上げられている中で、このまま目を覆って負の世界を次世代に引き継いでよいのでしょうか?
一部マスコミで2024年の日本漁船のサンマ枠は、前年比の6%減で不漁で影響は限定的という記事を見ました。少しでも気持ちを楽にしたいという視点での記事だったかもしれません。しかしながら問題の本質は、資源管理に効果がない大きな枠が設定されていることなのです。資源管理に効果がないので、将来のサンマ漁にとって悪影響が非常に大きいのです。
「過ちて改めざるこれを過ちという」(孔子)。日本の水産業は長きにわたりこの状態です。世界では水産業は成長産業です。科学的根拠をもとに正していきましょう。
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