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日本には海外と違う多種多様な魚食の文化がある JF全漁連・坂本雅信会長に単独インタビュー

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日本には日本の特性に合った漁業の資源管理が必要と説く。

坂本雅信(さかもと・まさのぶ)/全国漁業協同組合連合会代表理事会長。1959年生まれ。慶応大学商学部卒。2009年銚子市漁業協同組合代表理事組合長。2012年千葉県漁業協同組合連合会代表理事会長。2022年から現職(撮影:今井康一)
日本の漁業は漁業生産量がピークの1984年から7割減った。輸入金額も増え、海外勢に買い負けることも増えている。
『週刊東洋経済』6月1日号(5月27日・月曜発売)の特集は「全解剖 日本の魚ビジネス」
漁業者が今後も持続的な漁業に取り組めるようになり、消費者が安心しておいしい魚を食べ続けられるにはどうすればいいか。全国漁業協同組合連合会のトップに、漁業者の立場から意見を聞いた。

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日本の漁獲量減には複合的な要因がある

――日本の漁獲量は年々減少していますが、何が原因だと考えますか。

週刊東洋経済 2024年6/1号(全解剖 日本の魚ビジネス)[雑誌]
週刊東洋経済 2024年6月1日号の特集は「全解剖 日本の魚ビジネス」。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。バックナンバーの常備書店はこちら。定期購読の申し込みはこちら

日本の漁獲量は1984年の1282万トンから3分の1に減少しているが、その大半は遠洋漁業とマイワシの減少分。この影響を除くと、日本の漁獲量は2010年頃まで、年間約500万~600万㌧で安定して推移していた。一方で沿岸漁業の漁獲量が増えているわけではないことも事実。ここには複合的な要因がある。

過去に獲り過ぎで減少したケースも一部あったことはむろん否定しないが、それで漁獲量全体が下落したわけではない。まず、高度経済成長期以降の埋め立て等で藻場・干潟という魚の再生産の場が失われた①開発の影響、そして近年はこれに加え、②海水温の上昇など海洋環境の劇的な変化が大きい。青年漁業者へのアンケート(22年)でも、北海道でフグが増えた、宮城県でイセエビが獲れたなど、さまざまな実感が寄せられている。

また、③サンマについては、公海上での台湾・中国等の大型船による大量漁獲、スルメイカについては中国・北朝鮮の漁船による違法操業による影響も挙げられる。 

さらには、④後継者や就業者数の減少も関係しているほか、⑤水産物輸入の影響もある。

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