有料会員限定

円安抑制のため「為替不介入」の建前捨てた日銀 金融政策の軸が物価から「為替安定」へシフト

✎ 1〜 ✎ 38 ✎ 39 ✎ 40 ✎ 最新
拡大
縮小

7月の金融政策決定会合で日銀はイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を柔軟化し、長期金利の上限を引き上げた。特筆すべきは、為替に言及したことだ。

今度は円安に翻弄されかねない日銀(7月の記者会見に臨んだ植田総裁、編集部撮影)

特集「円安事変」の他の記事を読む

日銀が円安阻止に向けて政策運営の舵を切った。植田和男総裁は7月28日の記者会見で、大規模緩和の修正について「為替市場のボラティリティーも含めて考えた」と述べ、円安抑制の意図を認めた。

従来、日銀は為替への直接的な対処に慎重だった。しかし、2022年来の円安では政府(財務省)と歩調を合わせた。法律上、財務省・日銀の「通貨政策」は所管が完全に分離した状態だが、一枚岩となって円防衛に対処する構えだ。

介入判断に関与しないレアな中央銀行

日本の通貨政策は、世界的にも珍しいことに、管理体制が完全分離している。

一般的に、通貨政策は中央銀行が一元的に担う。この場合の「通貨」とは、物価と為替を総合したものだ。中央銀行が一元管理するのは、物価を安定させるには為替の安定が不可欠であるからだ。

したがって中央銀行は、為替が不安定化すると、物価への影響を軽減するため、必要に応じて為替介入に乗り出す。

次ページ円高対応を一手に担う羽目に
関連記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
円安事変
円安の加速でも「為替介入」が困難な根本理由
JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏に聞く
実は「50年ぶりの円安」を理解するためのポイント
円安影響を8つのポイントに絞りQ&A形式で解説
ニトリ、強気の「連続記録更新」を揺さぶる大試練
「36期連続増収増益」へ円安や特需一巡が打撃に
日本の「円安メリット」はもはや過去のものだ
「ミスター円」こと榊原英資・元財務官に聞く
円安が自動車部品会社に加える「トドメの一撃」
猛烈な原材料高を製品価格に転嫁させられるか
126円突破の背景は「ドル高」ではなく「円安」だ
この円安阻止に日本政府には何ができるのか
円安急襲の外食チェーン、明暗分ける「意外な差」
サイゼリヤは海外へのソースなどの輸出も視野
「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる
「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に
原油高と円安で日本の“赤字化"は不可避なのか
第一生命経済研究所の星野氏に見通しを聞く
インフレでも「財政」がよくならない不都合な真実
超低金利政策と財政出動で円安が進む悪循環
「円の独歩安」が続くといえる一目瞭然の分析
内需の低迷、資源高、通貨安に苦しむ日本経済
円安加速、日本銀行は「行くも地獄退くも地獄」
東短リサーチの加藤出社長に聞く「黒田リスク」
ECBの利上げが招くユーロ「140円台」到来はいつか
「ラガルド流」で利上げは7月、9月のどちらか
「中央銀行の債務超過」と「通貨安」は直結するのか
「中銀の財務健全性」は結果、問題は政府債務
「過剰な円安」で迫られるアベノミクスの後始末
「貧しい日本」という国難が現実化しつつある
岸田政権「資産所得の倍増計画」は何がダメなのか
英国の講演で日本の個人金融資産をアピール
「円安の行方」を占うアメリカの重要な経済指標
短期的にはドル高円安圧力が続く可能性が強い
中国「ゼロコロナ政策」の固執が招いた供給不安
日本の産業政策を再考すべき時が来ている
岸田首相はインバウンドの「全面解禁」を急げ
脱コロナの好機、円安抑止と景気浮揚に効果大
円安相場、「内外金利差の売り」はこれから本番
貿易赤字拡大と金利差拡大で年内はまだ円安進む
その他の記事はこちら
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内