7月の金融政策決定会合で日銀はイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を柔軟化し、長期金利の上限を引き上げた。特筆すべきは、為替に言及したことだ。
日銀が円安阻止に向けて政策運営の舵を切った。植田和男総裁は7月28日の記者会見で、大規模緩和の修正について「為替市場のボラティリティーも含めて考えた」と述べ、円安抑制の意図を認めた。
従来、日銀は為替への直接的な対処に慎重だった。しかし、2022年来の円安では政府(財務省)と歩調を合わせた。法律上、財務省・日銀の「通貨政策」は所管が完全に分離した状態だが、一枚岩となって円防衛に対処する構えだ。
介入判断に関与しないレアな中央銀行
日本の通貨政策は、世界的にも珍しいことに、管理体制が完全分離している。
一般的に、通貨政策は中央銀行が一元的に担う。この場合の「通貨」とは、物価と為替を総合したものだ。中央銀行が一元管理するのは、物価を安定させるには為替の安定が不可欠であるからだ。
したがって中央銀行は、為替が不安定化すると、物価への影響を軽減するため、必要に応じて為替介入に乗り出す。
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