政策修正の「次の一手」をめぐり思惑が交錯する。高止まりする物価に賃金上昇が追いつかず、消費は弱い。円安を抑えるか。賃金上昇を待つのか。
「円安が進めば、為替介入があるのではないか」――。ちょうど1年前の出来事とあって、市場関係者たちは思い出さずにはいられなかったようだ。
2022年9月22日の日銀金融政策決定会合。当時、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が急激に利上げする一方で、日銀が大規模な金融緩和を維持したことから円安が進んでいた。
黒田東彦前総裁は記者会見で「当面、金利を引き上げることはない」と断言し、円安が加速。1ドル145円に達したところで財務省が24年ぶりの為替介入に踏み切り、一時140円まで円高に振れた。
その記憶に牽制されたのか、今回の日銀決定会合では、前日にFRBが金利の高止まりを示唆してからの現状維持だったにもかかわらず、円安に勢いはつかなかった。ドル円は会合後も、9月上旬以来続く147〜148円台の値動きにとどまった。
「年末までに」発言の波紋
記者会見では、9月9日に読売新聞が報じた植田和男総裁のインタビューとそこでの発言について質問が集中した。「賃金上昇が十分だと思えるデータが年末までにそろう可能性はゼロではない」。この発言を受け、「マイナス金利が早期に解除される」との観測が市場で高まったからだ。
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