日銀が動いても「1ドル150円の終わり」が見えない 3年連続「物価2%超え」でも「確度足りない」

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植田和男日銀総裁
3カ月で「念のため」の1%金利上限を取り払う羽目に。10月31日に記者会見を行った植田総裁(撮影:今井康一)

前年度比1.9%から同2.8%へ――。日銀は10月31日の金融政策決定会合で公表した「展望レポート」で、2024年度の物価上昇率見通し(生鮮食品を除く総合)を大きく引き上げた。

政府が打ち出した物価高対策で2023年度のエネルギー価格が押し下げられる反動があるとはいえ、「賃上げなどを加えなければ出ない数字」(エコノミスト)と驚きをもって受け止められた。

2022年度から3年連続で2%超となり、エネルギーを除いてみても、2024年度、2025年度とも1.9%という物価見通しだ。この数字からは、もはや「2%物価目標の持続的安定的な実現」を否定しがたいが、日銀の判断はまだそこには至らない。植田和男総裁は会見で、「現在では十分な確度を持って見通せる状況にない」と述べた。

「確度」を問い始めた日銀

これまで足元の物価が2%を超えてきた中でも緩和を続ける理由として、日銀は先々の「見通し」が2%に達していないことを挙げた。2%台の見通しが続くようになると、今度は「確度を持って見通せるか」とゴールポストをさらに後ズレさせたのだ。

「確度が高まっていることは事実」と述べつつ、「十分ではない」。この「確度」とは多分に主観的で、なにかデータで明確に示せるものではない。裏を返せば日銀は、「目標達成を宣言して政策の枠組み修正」に踏み切るうえで裁量を手にした状態だ。

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