今、モロッコのマラケシュではIMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会が行われている(15日まで)。それに合わせて10日には、恒例の「世界経済見通し(WEO)10月改訂版」が公表された 。
世界経済のベースライン(予測の基準)成長率は、今年が3.0%で来年は2.9%となった。歴史的にはかなりの低水準だ。景気後退局面入りはどうやら避けられそうだが、新型コロナウイルスのパンデミック(感染爆発)前の成長トレンドを下回っており、とくに新興国は課題が山積している。
ゆえに今回のWEOの表題は、「格差広がる世界の舵取り」(Navigating Global Divergence)。今後のリスク要因としては、「中国の不動産危機」「不安定な1次産品価格」「インフレ圧力」を挙げている。
世界が不安定な中、2023年の日本経済は年2.0%成長へ
そんな中で、筆者が「中国経済は本当のところどこまで深刻なのか」(9月2日配信)で指摘したとおり、アメリカ経済は上方修正され、中国経済は下方修正されている。1年半で5%以上も利上げしたアメリカの経済がしぶとく2%台の成長を維持し、ゼロコロナ政策を取り払った中国経済が個人消費の低迷に直面している。いずれも年初には考えられなかったことである。
世界経済 3.5% 3.0%(0.0) 2.9%(▲0.1)
米国経済 2.1% 2.1%(∔0.3) 1.5%(∔0.5)
中国経済 3.0% 5.0%(▲0.2) 4.2%(▲0.3)
日本経済 1.0% 2.0%(∔0.6) 1.0%(0.0)
上記のように、日本経済も上方修正され、今年は2.0%成長となった。インバウンドの回復などによる外需主導型であるとはいえ、今年4~6月期のGDPは3四半期連続のプラス成長で、実質で559兆円とコロナ前の最高値を更新している。
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