その結果、内閣府の試算によれば、潜在GDPと比べた「GDPギャップ」は0.1%のプラスと、久々に水面上に顔を出すことになった。コロナ下の2020年4~6月期には▲9.1%にまで悪化していたのであるから、デフレ脱却に向けて貴重な一歩をしるしたといえるだろう。
秋風が吹き始めた日本経済
ただし、猛暑が陰りを見せ始めた9月末くらいから、日本経済には文字どおりの「秋風」が吹いている感じである。10月10日に公表された景気ウォッチャー調査では、9月の現状判断DIは49.9と8カ月ぶりに50を割り込んだ。前月比で▲3.7ポイント減というのはかなり目立つ。そして先行き判断DIも、同じく8カ月ぶりに50を割り込んで49.5(前月比▲1.9ポイント)となっている。
正直なところ、この調査、パンデミックの間はコロナ感染に沿って激しい浮き沈みを繰り返すばかりで、ほとんど景気指標としては有効性を失っていた。それが「コロナ明け」となった今年春頃から、ようやく統計としての有用性を取り戻しつつある。
コメント欄にも、全国の景気に敏感な職種の方々から、いかにも現場感覚あふれる記述が増え始めた。それもこの夏くらいまでは、「インバウンドの活況」や「4年ぶりの夏祭り」を寿(ことほ)いでいたものが、9月調査では以下のように慎重なコメントが見られるようになっている(下線は筆者)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら