
米国株の主要企業による決算発表シーズンが始まった。
銀行大手のウェルズ・ファーゴも最新決算を発表。第2四半期(4~6月)は売上高、希薄化後EPS(1株当たり利益)ともに市場予想を上回った。富裕層向けのウェルスマネジメントが前年同期比20%増と好調だ。
通期の純金利収入見通しを引き下げたことで、決算発表後に株価は大きく下落したものの、決算説明会でチャーリー・シャーフCEOは、アメリカの企業と消費者のファンダメンタルズは健全であると強調したうえで、今後、個人・法人預金の獲得や選別的な融資拡大で「攻めの成長戦略」を取ることを示した。
この2025年はウェルズ・ファーゴにとって「転機の年」となる。まずは、これまでの同行を取り巻く厳しい状況を簡単に振り返りたい。
ゴールドラッシュ期に創業
アメリカで最も古い銀行は、建国の父の1人であり、初代財務長官を務めたアレクサンダー・ハミルトンが1784年に創業したバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)だ。
その後、多くの銀行が設立されていくが、ウェルズ・ファーゴも最古の銀行の1つであり、創業は1852年だ。なにしろゴールドラッシュ期の運送・銀行業から始まったのである。当時のカリフォルニアなど西部には鉄道も通信網もなく、人・モノ・金の輸送手段として幌馬車(ステージコーチ)が用いられていた。
この幌馬車は「信頼・堅牢・歴史」の象徴として、現在も同行の企業ブランドに使われている。

しかし、後述するが2016年にこの信頼・堅牢・歴史に大きな傷をつける大スキャンダルが発覚する。
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