ようやく「円安貧乏」の恐怖が少し遠のいたようだ 日本経済は2023年後半も「小吉」を維持できるか

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今年は梅雨明け前からやたら暑い日が続いた。ただ、梅雨が明けても「灼熱の円安地獄」にはならずに済みそうだ(写真:西村尚己/アフロ)
この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

今年の梅雨はやけに長い。しかも暑い。うかつに外出すると熱中症になりそうだ。加えて、全国各地で記録的な長雨が多発している。線状降水帯の被害に遭われた方々には、くれぐれもお見舞いを申し上げたい。

とはいえ、さすがの長梅雨も東海・近畿・中国地方で終了した。関東甲信地方も、早ければ7月22日には明けそうだ。

そのあとは夏の楽しみが待っている。東京では7月29日に、4年ぶりに隅田川花火大会が行われる。わが地元、千葉県柏市では翌週8月5日に手賀沼花火大会が、これまた4年ぶりで行われる。コロナ下で自粛されてきた夏の行事が帰ってくるのである。いや、まことに結構なことではありませぬか。

単純に「日本の夏が帰ってくる」と言えない現実

と思ったら、「花火大会が中止」との報も相次いでいる。千葉県鴨川市の海水浴場では、今年は人手不足により中止を決断したという。花火の季節は重なるために、各地域で警備員の取り合いになるらしい。地方自治体の財政難や、地元の企業から寄付金が集まらないといった問題もある。単純に「日本の夏が帰ってくる」と喜んでいられるものでもないらしい。

物価の上昇も続いている。今月から政府補助金が段階的に引き下げられるので、ガソリン価格はさらに上昇するはずだ。つまりコロナの終わりとともに、さまざまなコロナ緊急対策も撤回されていく。

中小・零細企業向けの「ゼロゼロ融資」の返済もすでに始まっているから、倒産件数は上昇傾向にある。帝国データバンクの調査によれば、今年上半期の倒産件数は4006件(前年同期比31.6%増)と、6年ぶりに前年を上まわった。

筆者は「日本の景気は思ったよりも良くなるかもしれない」で「今年の日本経済は『小吉』のおみくじ」と年初から言い続けてきた。最近の好調な株価を見ると、もう少し欲張って「中吉」でもよかったかなあとは思うところだけれども、2023年はすでに折り返し地点を越えている。年後半もこの調子が続くのか、「『小吉』以後の日本経済」を展望してみたいと思う。

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