ちなみに2024年には、東北電力の女川原発、中国電力の島根原発などBWR(沸騰水型原子炉)を採用する原発の再稼働が予定されている。一方、関西電力、九州電力、四国電力など、PWR(加圧水型原子炉)を採用する原発はすでに稼働しているが、福島第一と同じBWR型の再稼働は文字どおり10年ぶりのこととなる。このことも化石燃料への依存度を下げるという意味で、日本経済の下支え要因の1つとなるだろう。
他方、自動車や建設用・鉱山用機械の輸出は順調に伸びている。半導体不足が解消すると、やっぱり自動車輸出は回復するわけで、少しホッとさせられる展開である。
あとは、7カ月連続で前年同月比マイナスが続いている対中輸出が気になるところだ。中国経済がちゃんと回復してくれるかどうかは、来年の日本経済にとっては極めて重要である。
とりあえず「円安貧乏」の恐怖は少し遠のいた
最後に、当面の為替レートについて触れておこう。7月12日に公表されたアメリカの6月CPI(消費者物価指数)が前年同月比3.0%増と市場予想を下回ったことで、市場には「利上げ打ち止め予測」が生じ、為替は一時、久々に1ドル=137円までのドル安円高が進んだ。
「CPIショック」に伴うドル安円高は昨年11月10日にも起きたパターンだが、問題は7月24日以降に控える「中央銀行ウィーク」である。25~26日にはFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)、27~28日には日本銀行金融政策決定会合が行われる。
FOMCはたぶん0.25%の利上げ。日銀は今回も「様子見」だろう。個人的には、ここで一気に「イールドカーブ・コントロール撤廃」に打って出るのも悪くはない気がしているのだが、「植田日銀」はもっと慎重なアプローチを採るものと拝察する。
それというのも、今年第1四半期のGDPギャップは▲0.7%となって、 2019年第3四半期以来のプラスゾーンに接近している。コロナ下の2020年第2四半期には▲9.0%まで落ち込んだことを思えば隔世の感があるが、次の4~6月期にはほぼ確実にプラス転換を確認できるだろう。となれば、8月15日に第2四半期GDP速報値が出るのを見るまでは、日銀として動きたくない、ということになる。
ということで、このあとは日米金融当局の発言次第で為替が大きく振れそうだ。「アメリカが利上げ、日本が様子見」となれば、普通は円安であろう。他方、「アメリカの利上げはあったとしてもあと1回だけ、日本はいずれ大きな変化を控えている」と考えれば、円高の可能性もある。日米の記者会見には注意が必要だろう。
とりあえず「円安貧乏」の恐怖が少し遠のいたことは、日本経済の「小吉」の一部と言っていいかもしれない。
(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
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