「デフレ脱却」できないことが日本経済を救う皮肉 家計も企業もアフターコロナ回復は早くも失速

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奈良の寺を行き来する観光客
旅行客の賑わいが戻ったようにみえるが……(写真・Bloomberg)

2023年度の日本経済の見方のコンセンサスはおおむね、①個人消費はサービス中心にペントアップ(繰り越し)需要で回復が期待される、②インバウンド消費は増加する、③設備投資はコロナ後の回復を見越して増加する、といったところだろう。

しかし、足元ではこれらの楽観的な見方と反する経済指標が相次いでいる。

7〜9月期以降は成長率が鈍化する可能性

7月7日に公表された総務省の5月家計調査では、GWの消費増が期待されていたが、実質消費支出は前月比マイナス1.1%と、4カ月連続で減少した。7月10日に公表された内閣府の6月景気ウォッチャー調査では、現状判断DIおよび先行き判断DIが低下した。7月12日に公表された内閣府の5月機械受注では、民需(船舶・電力を除く)が前月比マイナス7.6%と、大幅に悪化した。

4〜6月期はある程度のプラス成長となった可能性が高いが、7〜9月期以降は成長率が鈍化し、物足りない結果となる可能性が高い。

もっとも、2023年後半はインフレ率が鈍化する可能性が高く、2024年以降は実質賃金が目減りする傾向は一巡するだろう。すでに日本の交易条件は改善に向かっており、交易利得の増加(交易損失の減少)という形で、国内経済全体の所得環境は改善し始めている。

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