
足元では消費が伸び悩んでおり、1~3月期の実質GDP成長率における民間消費支出はマイナスとなる可能性が高まっている。背景には、コメ価格を中心とした食料品価格やエネルギー価格の高騰を受け、家計のマインドが悪化し、節約志向が強まっていることが挙げられる。
実際、家計のマインドを表す消費者態度指数は4カ月連続で低下し、3月分は約2年ぶりの低水準となった。
実質賃金の低迷が続いているのだから消費が弱いのは当然だ、と言って片付けてもよいのだが、最近の個人消費はやや経験則とは異なる傾向がある。具体的には、選択的支出の底堅さと基礎的消費の弱さである。
外食を減らさない2つの理由
一般的に消費マインドが悪化しているときには節約志向が高まることで、旅行や教養娯楽、外食などのサービスをはじめとする選択的支出が抑制されやすい。一方、食料や光熱費などの基礎的支出は減らすことが難しいため、維持されやすい。
長期的には、消費者態度指数が上昇(消費マインドが改善)している際には、選択的支出÷基礎的支出は上昇してきた(選択的支出が相対的に増えてきた)。しかし、足元では消費マインドが悪化しているのに、選択的支出が相対的に増えている(基礎的支出を節約している)。
選択的支出が相対的に増えているということは、実は消費マインドは強く、贅沢な消費をしているのだろうか?
答えは否であると思われる。結論を先に述べると、おそらく背景には、共働き世帯の増加などによって選択的支出である外食を減らして自炊にシフトするのに限界があること、最近の食品値上げが大幅であるために自炊に割高感が生じていることの2つがあると考えられる。
選択的支出を節約できず、仕方なく基礎的支出を節約している可能性が高く、家計の状況は非常に苦しいと言わざるを得ない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら