むしろ「AIが仕事を奪ってほしい」人手不足の極地 円安で増える外国人旅行客、減る外国人就業者

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浅草を歩く外国人旅行客
円安が需給両面でインバウンド周辺の物価を押し上げる(写真・Bloomberg)

ドル円相場の水準と並んで筆者への問い合わせが多いのが、「日本のインフレは持続性を伴うと考えるべきか」。仮に、今の日本が直面しているインフレが持続性を伴っていると考えた場合、その背景には、①人手不足、②円安、③インバウンド需要――が挙げられる。

このうち、②円安と③インバウンドについては『高いiPhone、高いホテルと「半世紀ぶり円安」の先』で議論した。円安を起点として、輸入物価の上昇はもちろん、サービス輸出(旅行輸出)が増えることによって結果的にインバウンド経由で「インフレ圧力が輸入されている」雰囲気も今の日本にはある。

②円安や③インバウンドが海外から国内に向けての「インフレ外圧」であるのに対し、①人手不足は、国内で生じているインフレ圧力として注目される。円安やインバウンド同様、人手不足も日々の報道で目にしない日はない。それほどまでに日本社会で常態化している問題である。

「過去最悪の人手不足」の業種も

人手不足の把握に関してはいろいろな切り口が考えられるものの、オーソドックスに日銀短観(9月調査)の雇用・人員判断DIを用いて現状確認をしておきたい。

全規模・全産業で見たDIはマイナス33と前回6月調査(マイナス32)からわずかに悪化している。非常に大きな「不足」超ではあるものの、バブル崩壊直後の1990年代前半にはより大きな「不足」超を経験しているため、日本全体として「過去最悪の人手不足」と形容するのはまだ早い印象もある。

しかし、業種別に見ると、「過去最悪の人手不足」と言っても過言ではない状況も透ける。

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