むしろ「AIが仕事を奪ってほしい」人手不足の極地 円安で増える外国人旅行客、減る外国人就業者

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アベノミクスが取りざたされ始めた約10年前(2013年3月)と比較すると、当時「過剰」超だった業種も含め全ての業種が「不足」超に転じている。

日本経済を局所的に見た場合、人手不足ゆえの機能不全に陥っている可能性が懸念され、しかもその変化は過去10年間でかなりの幅をもって起きていることが分かる。

およそ人が足りないにもかかわらず名目賃金が上がらないということはありえない。2023年の春闘が30年ぶりの伸び幅を確保し、2024年以降の持続可能性に注目が集まっているのも必然の帰結だろう。人手不足は確実にインフレの一因と考えられる。

ホテル・飲食店は営業短縮が当たり前に

既報の通り、人手不足が特に深刻なのが宿泊・飲食サービスであり、DIはマイナス72と過去最悪を更新し、3カ月後の先行きに関してもマイナス73と悪化傾向が予測されている。建設(マイナス54)や対個人サービス (マイナス51)も歴史的なマイナス幅を記録するが、宿泊・飲食サービスの人手不足は群を抜いている。

現在の日本では、飲食店が営業日や営業時間を間引いたり、ホテルが満室営業を諦めたりするのはもはや珍しい光景ではなくなっている。少子高齢化はこれからも順当に加速していくことを思えば、時間の経過とともにさらに従前通りの運営が難しくなり、社会の目もそれに慣れてくることだろう。

宿泊・飲食サービスにおける人手不足は「急増するインバウンド」という需要要因が真っ先に思い浮かぶが、それだけではない。

もちろん、インバウンド需要が増えたことによって人手不足に拍車がかかり、名目賃金が押し上げられている部分もあるだろう。その意味で「インフレの輸入」が生じている状況とも表現できる。

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