止まらない円安に苦しむ外食業界。しかし、円安をむしろ逆手に取ろうとする外食チェーンも存在する。何が明暗を分けているのか。
世界的な物流混乱に原材料高騰、深刻化する人手不足。そこに今度は円安という試練が、コロナ禍からの回復途上にある外食企業を襲っている。
年初は1ドル=115円前後で推移していた為替レートは3月以降、急速に円安が進み、4月15日には20年ぶりの安値となる126円台半ばをつけた。輸入食材やエネルギー価格の上昇につながる円安は、多くの外食企業にとってマイナス作用を及ぼし、長期化した場合のインパクトは計り知れない。
「昨年末に1ドル=115円の前提で2022年度の業績予想を作ったが、たった数カ月で120円を超えてくるとは予想だにしなかった。計画の下方修正もありうる」と、外食大手の財務担当者は肩を落とす。あるファストフードチェーンの幹部は「コロナ禍で1度値上げを行ったが、このまま円安などが長期化すれば2022年夏から秋ごろの“再値上げ”も視野に入ってきている」と打ち明ける。
「円安を武器にすることも可能」
止まる兆しの見えない円安に対し、業界で広がる悲痛な叫び。もっとも外食企業が悲観ムード一色かといえば、実はそうでもない。
「今後円安が進んでいくと、供給構造が変わると考えている。例えば中国はわれわれが(食材などを)購入する国だったが、逆にうちのカミッサリー(食品加工・流通工場)から輸出できないかというところまで考えている。どこで何を買い、何を売るのかというバランスを見直せば、円安を武器にすることも可能ではないか」
国内外で1556店舗を運営する、レストランチェーンのサイゼリヤ。同社の堀埜一成社長は1月中旬、記者会見の場でそう語っていた。
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