ドル円相場は4月13日、ついに2015年6月に記録した125.86円を突破し、2002年5月以来の126円台をつけた。日本銀行の黒田東彦総裁が財務官だった頃以来の水準である。
足元の円安についてはさまざまな解説が飛び交うが、FRB(連邦準備制度理事会)の正常化プロセスに伴うアメリカの金利上昇を主因として取り上げ、「ドル高の裏返し」と解説する向きが多いように見受けられる。
しかし、これは、少なくとも今年に入ってからの動きに関していえば、明らかに事実誤認である。結論から言えば「ドル買い」ではなく、「円売り」であることを以下、説明する。
3月は円以外の多くの通貨に対してドル安だった
図表①は名目実効為替相場に関し、年初来および特に円安が加速した3月中の変化率を比較したものだ。G7通貨のほか、参考までにトルコ・リラの変化率も載せた。ドル相場は年初来でプラス0.4%とほぼ横ばい、3月中に限ってはマイナス0.02%と上昇すらしていないことがわかる。これに対して円相場は年初来でマイナス4.9%、3月中はマイナス5.0%の大幅下落であり、「トルコ・リラよりはまし」という風情である。
したがって、この円安地合いを「ドル高の裏返し」と解説するのは無理がある。為替市場で進んでいるのは明らかに円売りであってドル買いではない。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら