雇用継続を求める組合と理研が真っ向から対立。なぜ理研は雇い止めに踏み切ろうとしているのか。
ノーベル賞に輝いた湯川秀樹氏や朝永振一郎氏が在籍した、栄光の歴史を誇る、自然科学の総合研究所の理化学研究所(以下、理研)が今、大きく揺れている。
理研の労働組合(以下、組合)によると、理研は研究系職員2938人(2021年4月1日時点)の2割の約600人の有期雇用者を23年3月末で雇い止めにする方針だという。雇用継続を求める組合と理研は真っ向から対立している。
3月25日に組合が開いた会見で金井保之執行委員長は「(大量の雇い止めが)日本の研究力の一層の低下を招く事態に陥るだろう」と訴えた。これに対し理研は「国家的・社会的ニーズの高い研究分野で成果を創出するのが国民への責任だ」としたうえで、「時宜に合ったプロジェクトを手がけるために、雇用上限による人材の入れ替えが必要だ」と主張する。
論文数は右肩上がり
直近の理研の実績を見ると、学術論文数は右肩上がりだ。トップ10%論文(ほかの論文に引用された回数が各分野、各年で上位10%に入る影響力の大きな論文)の比率は、日本全体の平均(近年は8%台半ば)の2倍以上で推移する。
もし約2割の研究者が雇い止めになれば、新たな雇用による入れ替えを進めても、学術論文数などが一時的には低下しかねない。だが、単純に雇い止めをやめたほうがよいのかといえば、そうは言い切れない難しさもある。
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