大学に配分する研究資金の原資となる10兆円ファンドの制度設計を主導した上山隆大氏が、日本の科学技術力向上のための「最後のチャンス」になると語った理由とは。

日本で世界大学ランキング100位以内に入るのは東大と京大のみ。一流の研究大学の育成が急務だ(写真はイメージ)
大学の研究力は資金力にも左右される。低迷する日本の研究力の浮上に向けて、政府は10兆円規模の大学ファンドを創設し、その運用益をトップ層の研究大学(学術研究と研究者養成を主目的とする大学)に配る道を選択した。国立大学側は運営費交付金などの増額を求めていたが(国立大学長のインタビューは、こちらから)、ファンドの制度設計を主導した総合科学技術・イノベーション会議の常勤議員の上山隆大氏は、「運営費交付金の増額はありえない。ファンド以外に道はなかった」と語る。
――トップ層の国立大学が目指していかなければいけない「世界と伍する研究大学(世界に冠たる高等教育機関と肩を並べる大学)」の条件とは何だと考えますか。
まず第一に、研究力だ。具体的に言うならば、その大学に属している研究者のアカデミアに対する貢献。それは論文の量や、(他の論文への引用数が)トップ10%やトップ1%に入る注目論文が多いことだ。
それから、国際的であるということだ。世界に伍する研究大学は、完全にグローバルな環境の中でやっている。英語で研究論文を書いているので、英語がキャンパスの中でスタンダードになっていなければ、世界に伍する研究大学とは言えない。
また、世界のトップランクの研究大学の多くは大学院が中心だ。日本の大学は、東京大学であれ、それ以外の大学も含めて、偏差値でランキングが決まっている。その偏差値は学部に入る際の水準で測っているもの。それを研究大学に当てはめるのは間違っている。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
連載一覧
連載一覧はこちら