岸田首相が5月5日の訪英で言及した政策には「資産倍増プラン」と「インバウンドの復活」がある。円安との関連で見ると資産倍増プランには危うい点があるが、インバウンドには望ましい効果がある。
岸田首相は5月5日に英国で、「資産倍増プラン」を披露したのと併せて、「鎖国」と揶揄されている日本の新型コロナ水際対策を緩和する意向であることも述べた。
ただし、観光目的の外国人、いわゆるインバウンドの新規入国については「少人数のツアー」に限定すると言ってみたり、その後の民放番組のインタビューでは「実証事業」というフレーズを使ったりしており、あくまで完全な正常化には慎重な姿勢も滲み出る。
「日本人が海外との往来をするのはOKだが、その逆はダメ」というのはもはや水際対策の理屈としては破綻しており、諸外国から見れば単なる日本のワガママでしかない。限定なしに即、全面解除するのが常識的な対応であろう。
自ら改革できない日本は「外圧」を生かせ
インバウンド全面解禁は、ガラパゴス化した防疫政策のあり方を外圧によって見直し、成長率の復元に弾みをつける好機にもなる。炎天下の屋外やスポーツジムでもマスク着用に固執する日本の状況は世界的に見ても異様であり、これを海外から来た人々に強いるのは無理だからである。
ほかならぬ岸田首相が外遊先でマスクの着用をやめていたが、これは「海外出張先・相手国のルールに沿って対応」した結果だと弁明している。ということは、今の日本ではマスク着用はあくまでも緩和の推奨にとどめるのが岸田政権の基本姿勢なので、外国人旅行客に対し、空港で「おもてなしマスク」でも配布するのだろうか。
もはや日本社会の防疫意識は自己改革が難しくなっているようにも見え、インバウンド全面解禁とセットでこれを修正するのが賢明に思える。もちろん、日本がコロナで閉じ籠るのは自由だが、そのうえで「岸田に投資を(Invest in Kishida)」は通用しない。開かれていない国に投資マネーは寄りつかない。
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