ECBの利上げが招くユーロ「140円台」到来はいつか 「ラガルド流」で利上げは7月、9月のどちらか

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ECBの利上げ観測が市場で強まっているが、FRBとは置かれている経済環境が異なる(写真:Bloomberg)

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猛烈な円安相場の陰に隠れているが、過去1カ月でECB(欧州中央銀行)の早期利上げ期待がにわかに盛り上がっており、筆者への照会も増えている。3月以降、ユーロ相場は対ドルで軟調だが、対円では堅調を維持している。以下、利上げ観測を検討したい。

すでに短期金融市場では7月の利上げ着手と、続く9月の利上げが見込まれている。しかも、1回の利上げ幅は0.25%、3カ月で0.5%の引き上げ予想である。

預金ファシリティ金利は2014年6月のマイナス金利導入以降、約7年かかってマイナス0.50%まで引き下げられてきたわけだが、市場の織り込みが正しければ3カ月でマイナス金利が解除される。市場期待はさらに進んで、2023年末には1.50%まで織り込んでいる。

はたしてそうしたFRB(連邦準備制度理事会)のような急旋回が可能なのか。

「7月利上げ説」で総裁と副総裁は言質を与えず

市場の織り込みに根拠のないわけではない。4月21日、デギンドスECB副総の発言として、6月会合では7月利上げへの道筋が開かれるといった趣旨が報じられた。現在公表されているガイダンスに従えば、7月利上げは理屈上、確かに不可能ではない。

現在、ECBは7~9月期中の拡大資産購入プログラム(APP)の終了を既定路線としつつ、この間のどこで終了するのかは明示していない。

一方、利上げ着手はAPPが終わって「しばらくしてから(some time after)」とされている。この「しばらく」はラガルドECB総裁によれば「1週間から数カ月の間(anywhere between a week to several months)」であり、何も言質は与えられていない。つまり、「7月中にAPPを終了して、その後7月中にも利上げをする」という政策運営はガイダンスと矛盾するものではない。

しかし、それはラガルド総裁がAPPと利上げを別次元の政策決定として強調してきた経緯とあまりにも異なり、やや屁理屈に近いという印象もある。ECBの正常化プロセスはあくまで漸進主義(gradualism)と言ってきた経緯もある。「APP終了→利上げ」の時間的順序は守られるからといって、7月に両方とも押し切ろうとするのはいかにも駆け込み的である。

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