実は「50年ぶりの円安」を理解するためのポイント 円安影響を8つのポイントに絞りQ&A形式で解説

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円安が進む中、「実質実効レート」に注目が集まっている。これについての理解を深めると日本が抱えるさまざまな課題が見えてくる。

3月28日には一時125円まで円安が進んだ。果たして今後の展開は(編集部撮影)

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昨今の円安を受けて、実質実効為替レート(以下、実質実効レート)に注目が集まっている。これは、通貨の「総合力」あるいは「真の実力」を示す指標とされる。

この実質実効レートでみたとき、現在は「50年ぶりの円安」という水準にある。筆者はかねて実質実効レートの動向をフォローしてきた。そこで、以下の8つのポイントに絞って足元の為替市場を解説したい。

Q1 現在の円安をどうみるべきか?
Q2 注目されている「実質実効レート」とは?
Q3 円安のメリットは?
Q4 円安のデメリットは?
Q5 円安影響はトータルでプラスかマイナスか?
Q6 今後の円相場はどうなるのか?
Q7 政府・日銀による為替介入はあるか

Q8 さらなる円安を止められるか?

Q1今の円安をどうみるべきか?

現在の円相場を考えるうえで重要なのは、1ドル=120円台という名目レートよりも「実質実効レート」だ。これは「自国の財・サービス価格の海外の財・サービス価格に対する相対価格(割安・割高度)」を示すものだ。

円の実質実効レートについて長期推移を見てみると、2022年2月の水準(66.54)は、1972年2月(66.25)以来の低水準に下落している。つまり、現在は「50年ぶりの円安」ともいえるわけだ。

当時は1971年のニクソンショックを発端として、ドル円レートが割安となっていた1ドル360円の固定相場制から完全変動相場制へと移行する過渡期にあたり、まだ1ドル305円(月次平均)という円安水準にあった。

実質実効レートのトレンドを見ると、1995年4月にピークの150.84をつけた後は長期にわたって下落基調にある。ただし、2022年2月の名目実効レートは1995年4月から15.3%下落したに過ぎないのに対し、この間の円実質実効レートの下落幅は55.9%に達している。その理由は、この間の日本の物価上昇率が海外の物価上昇率を大きく下回ったためだ。

Q2 注目されている「実質実効レート」とは?

実質実効レートは、われわれが普段目にする2国間の通貨の交換比率であるドル円レートなどに、「実質」、「実効」という2つの要素を加味したものといえる。

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