地方銀行の体力差はどれくらいあるのか。最新決算から自己資本比率のワーストランキングを作成。健全性を見るうえで重要な指標だ。
「立ち消えになったとも聞いていたが、結局、統合を決めたのか……」。ある地方銀行の幹部は、青森県の青森銀行とみちのく銀行が経営統合するとの発表を知り、そう口にした。
両社の統合観測が最初に持ち上がったのは2020年9月。だが、みちのく銀行内で強い反対の声があったようで、具体的な発表には至らなかった。そこから半年以上が経ち、2021年5月に経営統合の基本合意が公表された。
最新決算から作成した自己資本比率のワーストランキング(下表)では、みちのく銀行は7.70%(3位)と低く、2009年に注入された200億円の公的資金も残っており、テコ入れは避けられない状況にあった。「コロナ禍もあって、単独では厳しいと判断したのではないか」(地銀関係者)という声は多い。
自己資本比率の目安は8%
銀行には、経営の安定性を保つための自己資本比率規制がある。海外拠点のない「国内基準行」は4%以上、海外拠点を持つ「国際基準行」は8%以上が求められている。地方銀行の大半は「国内基準行」に分類されるものの、健全性の目安として8%を求められることが多い。同じく健全性を見る不良債権比率とならぶ重要な指標だ。
地銀100社のうち、みちのく銀行を含めて8%を切る銀行は9社ある。ワースト1位の島根銀行(7.12%)は「第4のメガバンク構想」を掲げるSBIホールディングスと提携済み。このようにすでに提携や経営統合に動いている銀行も多いが、まだ手を打てていないところもある。
収益力を高めて経営の安定性を確保するために、他の銀行との提携を模索する動きは続きそうだ。
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