純利益3倍増と3500億円の公的資金返済は、達成できるのか。
「3500億円の公的資金は3年で絶対に返す」――。
5月27日に東京・六本木の本社での決算説明会見で、SBIホールディングスの北尾吉孝社長はそう言い切ってみせた。
新生銀行をめぐり、銀行業界初ともいわれた敵対的TOBを成功させたSBI。だが、SBI新生(2023年1月に商号変更予定)の正念場はまさにこれから。公的資金返済に向けて、乗り越えるべき3つの高い壁がある。
収益力の強化
1つ目は、収益力の強化だ。新生が新たに策定した中期経営計画では、24年度までに連結の純利益を21年度の実に3倍以上となる700億円まで押し上げ、そのうち150億円分はSBIグループとのシナジーによるとしている。
課題はその150億円の内訳だ。大きく分けて4つある項目のうち、「市場性運用に関するノウハウ共有、資金調達の拡大」が最大で、75億~85億円の寄与を見込む。
ノウハウ共有というが、その実態はこれまでにSBIが出資してきた地方銀行向けの支援策と、ほとんど変わらない。新生は、SBI傘下のアセットマネジメント会社が組成する私募投資信託を買うことになるからだ。すでに新生は、22年3月期の決算で債券売却関連損失として117億円を計上。ポートフォリオ組み替えの準備を着々と進めている。
ただ、こうした運用がすぐに成果を出せるとは限らない。典型例がSBIに有価証券運用を委託している山形県の第二地方銀行、きらやか銀行だ。
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