わずか半年で3度続いた同一県内での再編劇。そこから見えた共通点とは。
「環境変化に対応し、神奈川県の発展に寄与するには、両行がグループ一体となるべきだ」
地方銀行最大手の横浜銀行は2月3日、神奈川銀行をTOB(株式公開買い付け)によって今夏をメドに完全子会社化すると発表した。買い付け金額は約82億円で、期間は2月6日から4月4日まで。同日の会見で、横浜銀の片岡達也頭取は買収の意義を強調した。
買収目的については、県内の顧客基盤拡大やソリューション営業の強化、経営資源の集約に伴うコスト削減などを挙げた。神奈川銀の近藤和明頭取も「中長期的な企業価値向上に向けて、最善の選択だ」と歓迎する。買収後も神奈川銀の看板は残し、合併はしないという。
もともと横浜銀が神奈川銀の株式を保有するなど、両行は親密な関係にあった。経営統合へ動き出したのは2022年8月。横浜銀の片岡頭取が神奈川銀の近藤頭取に提携を持ちかけ、協議を重ねるうち、営業基盤強化のためには完全子会社化が最適との結論に至った。
横浜銀は、2016年に経営統合した東日本銀行との協業深化が今も道半ばの状況にある。にもかかわらず今回の買収に踏み込んだのは、なぜなのか。
相次ぐ「県内再編」に2つの共通点
大手行が同一県内の小規模地銀と経営統合を行う事例は、2022年来相次いでいる。2022年9月には長野県首位の八十二銀行が長野銀行と、同年11月にはふくおかフィナンシャルグループ(FFG)が福岡中央銀行と経営統合を行うと発表した。
それぞれの統合事例には、2つの共通点がある。
1つは当事者の業績が好調なことだ。横浜銀の片岡頭取は「統合効果は1、2年では出てこない。両行の業績が堅調な状況で先手を打つ」と話す。長野銀や福岡中央銀も、先行きの不透明感を挙げていた。
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