徐々に加速し始めた地方銀行の再編ドミノ。全国のエリア別にその最前線を追った。今回は各エリアで注目の地銀トップにインタビュー。コンコルディア・フィナンシャルグループ、三十三フィナンシャルグループ、島根銀行、豊和銀行のトップに今後の展開について聞いた。
コンコルディア・フィナンシャルグループ 社長 片岡達也
横浜銀行と東日本銀行で、取引先企業がいわゆる「ゼロゼロ融資」をかなり活用している。両行の合計残高では3000億円くらいだが、この上期から徐々に返済が始まる予定だ。
取引先の経営悪化の懸念は大きくないが、急速な円安や仕入れ価格の上昇もあり、銀行としても予防的に貸倒引当金を積みながら、支援に当たっている。
従来型の銀行業務だけで今後生き残っていけるかということについては、これだけ金利が潰れている状況だと、預貸を中心とした銀行のビジネスモデルはやはり難しい(2021年度の全国99行の地銀決算から作成した「衰弱度」総合ワーストランキングはこちら)。
もちろん金利が上がれば銀行のアセットにはプラスに効いてくるが、外部環境を当てにすることは、経営としては取るべき選択肢ではない。
銀行の3大業務というと、預金、貸し出し、為替(決済)だが、それだけでなくソリューションカンパニーとして、付加価値をどれだけ高められるかに懸かっている。
そうなるとわれわれの競合先はコンサルファームだったり、エクイティーファンドだったり、あるいは地域商社だったりするかもしれない。
企業価値が上がる再編策は積極的に議論
東日本銀行については、前年度の決算を見てもらえばわかるとおり、与信コストの戻り益を除いても、大体30億円ぐらいのボトムラインだった。横浜銀行と同様にかなり効率化を図って、人員も店舗も絞り込んでいる。
あとはソリューション営業をしっかりやっていけば、30億〜50億円のボトムラインに達するだけの力はついてきている。その状況で横浜銀行と合併しても、大きくは変わらないし効果は小さい。
今も横浜銀行から、30人以上の行員が入ってさまざまな改善を進めているが、いずれはプロパーの頭取にしたいし、できると思っている。ただ、もし収益目標がまったくうまくいかなかったときは、別のやり方を考えるかもしれない。この3年が勝負で、経営陣にもそれを伝えている。
われわれも経営統合を経験してわかったのは、トップラインでシナジーを出すのは簡単ではないということ。
メディアで再編や統合といった話題がよく出るが、結局はガバナンス(企業統治)の問題だ。仮に企業価値が上がって、かつ株主や行員、地域社会にメリット、あるいは合意があるものであれば、私は積極的にやっていきたい。
それが、地銀なのか、ファンドなのか、あるいはまったく別の業種の企業なのか、そこはさまざまな選択肢を持って議論しておくべきだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待