3度目となる公的資金の活用を検討している山形県のきらやか銀行。背景にあるのは、失敗続きの有価証券運用だ。
コロナ禍によって観光業などの地域経済が疲弊する中、山形県を地盤とするきらやか銀行が5月13日、金融機能強化法に基づく公的資金の注入を申請する方針を表明した。
政府が2020年に設けた強化法の「コロナ特例」を活用する方針で、全国では初。公的資金注入となれば、大分県の豊和銀行以来8年ぶりとなる。申請金額や払込時期などは今後詰める。
「(取引先を)今後も長期にわたって支援していくことが必要だ」。きらやか銀の川越浩司頭取は同日行われた記者会見で、公的資金申請の狙いについてそう言って理解を求めた。
公的資金返済へ強まる懸念
ただ、同行への公的資金の注入は、2009年、2012年に続いて今回で三度目となる見通しで、回収への不安は強い。世界的な金融危機、東日本大震災、そしてコロナ禍と大きな経済的ショックによる不可抗力で、公的資金の注入申請に至ったように一見映る。だが、その内情は紛れもなく、有価証券運用をはじめとするきらやか銀の稚拙な経営にある。
「株や債券の相場がどう動いても利益が出ないような、どうしようもないポートフォリオになっていた」。金融庁のある幹部は、きらやか銀の有価証券運用の惨状についてそう話す。
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