国内の約4割の地銀が1つのシステムを共同で利用する――。NTTデータがぶち上げた構想は、業界の勢力図をどう塗り替えるのか。
「合併でもないのに、ベンダーを変えるとは何ごとか」。1本のプレスリリースに、銀行やIT業界関係者の間でどよめきが広がった。
「クラウド化を志向した次世代基幹系システムの構築について」。11月11日、広島銀は勘定系などのシステムを刷新すると発表した。同行のシステムは日本IBMが運用を受託しているが、2030年度をメドにNTTデータが運用する「MEJAR(メジャー)」に移行する。
勘定系システムとは、預金や決済、為替といった銀行業務を支える基幹システムだ。広銀を含む地方銀行のシステムは、NTTデータやIBM、日立製作所、BIPROGYなどの大手ベンダーが開発・運用を行っている(各行が利用しているシステムの一覧はこちら)。
勘定系システムをめぐっては、これまでもベンダー間で受注競争が繰り広げられてきた。だが、今回の広銀の鞍替えは様相が異なる。広銀は2003年から、福岡銀と共同でIBMのシステム「Flight21」を利用しており、IBMとは昵懇と見られていたためだ。
20年来の付き合いだったIBMとの離縁は、地銀のシステムをめぐる再編機運の高まりを示唆する。
背中を押した「IBM依存」への危機感
「IBMの『一強』になることを懸念した」。システム移行の背景について、広銀関係者はそう打ち明ける。
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