NTTが進める人事改革は社員の出世の行方に直結する。グループ再編の余波と相まって、従来と異なるルートで出世する人材が増えていきそうだ。
「最早組(さいそうぐみ)」――。
NTTグループには、そんな社内用語が存在する。入社同期の中でもっとも出世が早いエリート社員を指し、「社員なら誰でも知っている」(NTTグループの中堅社員)言葉だ。
最早組は20代前半で入社し、30歳前後に主査(係長級)、30代半ばには課長へと昇進し、管理職に到達。40歳前後で部長、50代から執行役員に就くのが、NTTにおける模範的な出世コースだった。
年1度の昇格のチャンスとされる人事面談に失敗し、いったん最早組から脱落してしまうと、その分だけ出世が遅れ、挽回は容易ではない。「最早組から外れたとたんにモチベーションが下がってしまう社員も多かった」(NTTの山本恭子執行役員)。
いわば役所の事務次官レースのようなもので、“入社年次”が重視されるNTTの組織風土の象徴的存在だった。
コーポレート畑の出世が王道だった
しかし近い将来、最早組は死語になるかもしれない。脱・年功序列を掲げた人事改革により、年次にかかわらず昇格や敗者復活のチャンスが与えられることになるからだ。
NTTが2023年4月から導入する一般社員向けの新たな人事制度は、年次、在籍年数に関係なく課長などに抜擢できる設計とし、「専門性」を重視した人事評価が行われる(制度改革の詳細はこちら)。スピーディに出世できるチャンスが増える反面、下から突き上げられる危険性も高まる。約1年前にジョブ型へと移行した管理職では、降格・降給も実施できる制度となった。
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