「自己株買い0円」、空振りした三井住友FGの顛末 日興騒動が想定外の長期化、ようやく取得再開

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自己株買いの「やり直し」を発表した三井住友フィナンシャルグループ。直近のメガバンクの自己株買いに対するスタンスからは、各社の財務戦略の違いがうかがえる。

好調な業績を受けて、メガバンクは株主還元に積極的だ(記者撮影)

「自己株式の取得状況に関するお知らせ」――。

12月1日、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、前月の11月中旬~下旬にかけて、市場から459万株の自己株を計212億円で取得したと発表した。同社の自己株買いは3年3カ月ぶりだ。

しかしその間、自己株買いの意向をまったく示していなかったわけではない。2021年11月に、上限1000億円の大規模な自己株買いを表明している。

ところが、この株主還元策は一度も実行されずに終わった。取得株数および取得総額がいずれも「0」のまま、2022年11月11日に期間満了を迎えた。増配や自己株買いといった株主還元に意欲的なメガバンクにあって、意外な幕引きだ。

もっと早く終わると思っていた

「未公表の重要事実があったので、実行できなかった」。SMFGの太田純社長は、「0円」の理由をそう説明する。

未公表の重要事実とは、子会社であるSMBC日興証券の相場操縦事件にまつわる当局の調査だ。日興に対する調査の進捗や処分内容がインサイダー情報に抵触しかねず、SMFGは処分が確定するまで自己株取得を控えていた。ついぞ取得に動けぬまま、期限を迎えてしまったという。

会社側の説明は一面では正しく、別の一面では矛盾している。というのも、SMFGが自己株買いを発表する約1週間前、日興は証券取引等監視委員会の調査を受けている事実を公表していた。SMFGは自らがインサイダー情報を抱えていることを知りつつ、自己株買いを行う方針を発表したことになる。

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