SMBC日興の「幕引き」で取り残された5人の被告 会社は起訴事実をすべて認めてスピード結審へ

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今回の事件で起訴された役職員は6人。そのうち5人は容疑を否認しており、現時点で公判開始のメドも立っていない。

会見を行うSMBC日興証券の近藤雄一郎社長
SMBC日興証券の近藤雄一郎社長。10月28日に東京地裁の公判に出廷した(撮影:梅谷秀司)

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副社長以下6人が起訴されたSMBC日興証券の相場操縦事件。10月28日に東京地方裁判所の初公判に出廷した被告は“2人”だけだった。

1人は法人として起訴されたSMBC日興証券の近藤雄一郎社長で、会社を代表して出廷した。もう1人が元執行役員である杉野輝也氏だ。いずれも起訴事実をすべて認めたことで、本裁判はスピード結審となる。12月に2回の公判を経て、2023年2月13日には判決が言い渡される予定だ。

だが、今回の事件で起訴された役職員は杉野氏を含めて6人。ほかの5人は容疑を否認しており、現時点で公判開始のメドも立っていない。法人と1人の被告の公判だけが先に進んでおり、分断された状態なのだ。

近藤社長が容疑を全面的に認めた理由

SMBC日興は家宅捜索を受けた3月に会見を開いた。このとき、近藤社長が「内部管理体制に不備があったことは否定できない」とする一方、違法性を争うかどうかを問われると「起訴状を精査する」などと明言を避けていた。

最終的に容疑を認めた理由について、近藤社長は10月28日の公判で「検察から示された事実を見て」と答えている。法廷の場でも、検察が提出した証拠を確認する過程で、関係者同士の通話や朝会議での録音、LINEやメールでのやり取りがいくつも示された。

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